きりたんぽ乱入
鍋も終わりに近付いたころ、秋田出身の友人、Tさんがきりたんぽを取り出した。
「あ、鍋っこ遠足」
「……そうそう、秋田では、いも煮会じゃなくて、鍋っこ遠足って言うんですよ。でも鍋だけじゃなくて、ヤキソバとかバーベキューもやったし、テキトウだったなあ」
彼女はきりたんぽを二つに折って、鍋に入れた。
実は私は、きりたんぽ鍋も食べたことがない。
「秋田の家庭では、きりたんぽじゃなくて、御飯をまるめたものを鍋に入れたりもするんですよ。それは『だまこ鍋』っていうんですけどね」
さすがに地元の人は詳しい。
きょうの「いも煮」も、山形か福島か宮城出身の人にナビってもらったら、ずいぶん違ったんだろう。
私は埼玉出身で、ぱっとした名物がないので、自慢できる郷土料理のある人がうらやましい。
きりたんぽは美味しかった。中の空洞は、竹ぐしの風味がした。
たき火状態
日がくれても、用意したビールがなくなるまで、皆で鍋をかこんだ。
寒かったけれど、楽しかった。食べるものがなくなったあとも、ガスコンロに手をかざして、話をしていた。たき火のようだった。
ガスコンロじゃなくて、河原で火を起こしてやる「いも煮会」も、いつかやってみたいな、と思った。
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