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特集 12月のテーマ:夜

12月のテーマ:夜
甘酒ショック療法
あまあま、あつあつ。

「冬の寒い夜といえば甘酒、甘酒を飲んでホカホカ。というわけで大塚さん、甘酒を取材してきてください」
ニフティ編集部にそう言われたとき、背中に冷や汗がドッと出た。
「あのう、私、甘酒苦手なんです」
「じゃあ、好きになるように、美味しいの探してきてくださいよ」
「あのっ、いやっ、苦手なんてソフトな表現じゃなくて、はっきり言ってしまえば嫌いなんです、すごく」
「あははは。じゃあ嫌いなりにレポートしてきてください」
……鬼だ。
そんなわけで、甘酒好きになるために、甘酒飲みまくってみました。果たして甘酒好きに………なれるのか?

(text by 大塚幸代



甘酒嫌い

人が「おいしい」と食べてるものに、文句を言いたくない。それがイヌでもクジラでもイナゴでも、人がよかれと思ってワシワシゴクゴク摂取してる食の文化に、何か言うのはかっこ悪いと思う。
しかし、ぶっちゃけ白状すると、
わたくしは、甘酒が………嫌いだ。
なんとなくあの風味が嫌だ。ひと口も飲めないわけじゃないけれど、湯のみ3分の1が限度。それ以上飲むとオエッとなる。

小さい頃から飲めなかった。甘酒は兄の好物だったので、母がしょっちゅう作っていた。そして作るたびに「お前も飲め」と出されたのだが、いつも3口程度でギブアップしていた。
嫌いだと言ってるのに、毎回すすめられる苦痛。「今度こそは飲めるかしら」と口をつけてみても、やはりダメ。「母親って娘よりも息子のほうが好きなんだよなあ、だからこういうことするんだ、ムキー」とか、甘酒ごときで腹をたてていた。辛い日々だった。

しかし味覚は年令とともに変わる。
大人になって、昔は嫌いだったシオカラもヒジキも漬け物も、美味しく感じるようになった。もしかして甘酒も飲めるかもしれない。
そうだ、有名な店で美味しい甘酒を飲んだら、目からウロコが落ちるかもしれない。甘酒観が変わるかもしれない。ショック療法だ。甘酒有名店めぐりだ!

さっそく私はネットを検索して、東京でいちばん有名な店を見つけた。くそう飲んでやる! 好きになってやるともさ! ムキー!



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