「もう、こんなもんでいいかしら？」
「バイキングへ来ると、なんかバカっぽい料理の並びになりますよね………」
「しゃぶしゃぶ、すし、かに、ローストビーフ。子供時代のアタシだったら、おしっこちびっちゃうようなメニューだわあ」
「すしコーナー、男性ばっかし並んでましたね。デザートコーナーは女ばっかりだけど」
「そうよ、男は米が食べたいものなのよ〜。………ちょっとアナタ、ケーキいっぱい貰ってきたわねえ」

「だってモトがとれないじゃあないですか！　当たり前っすよ！　ていうか林さん、なんでケチャップとかソースとか紅茶とか、大量に持ってきてんですか？」
「小分けされた袋って、なんかグっとくるじゃない。萌え〜」
「そうか？」
「………しかし、こういうホテルのバイキングって、充分美味しいけど、めちゃくちゃ美味しいわけじゃないですね」
「どこもこんなもんじゃないの？」
「しかし食べ放題とヌードショー見学って、欲望丸出しのツアーですよねえ」
「食欲と性欲………完璧ね。うっとり」
「………」
「………」
「………なんかジャンジャカジャーンて、騒がしい音楽が鳴ってますね、何すか？」
「あ、稲庭うどんが入りましたー！　っていうアナウンスやってるわよ」
「いまの、稲庭うどんのテーマ？」
「そうみたい」
「ホテルのバイキングって、どこも、こういうもんなんですかね？」
「さあ。でも、うどん登場に曲を付けるアイデアは、嫌いじゃないわ〜。あ、もう集合時間だわ、うどん食べられなくてざんね〜ん！」
「………」