とらや から100メートルぐらいしか離れていない東京羊羹の喫茶室に入る。まさにはしご。ちょっとした剛の者だと思う。
ここでは御前しるこを注文。ここまでつぶあんのおしるこばかりだったので、こしあんならば楽かもしれない思ったのだ。
あちっ!
口のなかをやけどした。こしあんだと熱がみっちりこもっている。そして甘い。ひとくちめでいきなり甘さに負ける。
きっとここもおいしいおしるこなんだと思う。お客さんが立ち代り入れ替わりはいってきては楽しそうにおしるこやあんみつを食べている。
体が震えてきた。このときの取材メモに「マズい、ヤバい」と走り書きしてある。呼吸を整える。
ふーふー・ふー ふーふー・ふー。
なぜかラマーズ法だ。
心臓の鼓動がはっきり聞こえる。飲みすぎたときの感覚に似ている。泡盛とか強い酒を飲んだあとみたいだ。
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ここのしおコンブがすばらしくおいしい。しおコンブだけ売ってないだろうか。
最後のひとくちを勢いよく飲みこむ。(証拠写真)
耳の奥で「ゴー」という音が聞こえる。下を向いて嵐が通り過ぎるのを待つ。体が小刻みに震える。
銀座の甘味処でひとり闇と戦う。でもつまんないので携帯で友人にメールを送る。メールのつながってる感ですこしすくわれた気がした。
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店を出て胃薬を飲んで次の店に移動する。体の震えが止まらないのは寒さのせいか甘さのせいかわからない。
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