僕らがかぶると帽子にシワがない
最後に原宿の帽子専門店に寄る。人気の店だけあって混雑している。
X-LARGE というブランドのキャップを見て横山さんが怒っている。
「なにが X-LARGE だ。どうせはいらねえんだ」
確かに入らない。当然僕も入らない。
(X-LARGE はブランド名でサイズのことではない。でも横山さんはそれが気に入らなかった様子)
ここまでくるとハットはあきらめてニットキャップを中心にチャレンジしている。
気づいたのは、僕らがかぶるとキャップにしわができないのだ。
いっぱいいっぱい感、詰まってる感じになる。
「ざくっとラフにかぶった感じがしないんだよね」
互いに力なく笑う。
まだ見ぬ同士よ!
横山さんが店員に聞いていた。
「大きな帽子を買いに来る人とかいませんか?」
昔は注文を受けて特注で作っていて、いままでに3人ぐらい来たとのこと。
「来たんだ!林くん、仲間がいたんだよ!」
各地に散ったでかい頭の同士がここに来たんだ。そう思うと僕もうれしくなった。
里見八犬伝みたいだ。
盛り上がる僕らを見て、店員は本気でひいていた(ほんとに)。
|