物語の見えるTシャツ
まず久米さんが見せてくれたのはこのTシャツ。
JUNIOR SPORTS CLUBS FESTIVAL YAMAGATA 1993
山形で開催されたスポーツイベントのTシャツだろう。
「YAMAGATA だけフォントが違うでしょ。これきっと JUNIOR とおなじフォントで最初つくったんだけど、偉い人が『読めないじゃないか』って言ってかえさせたんですよ」
ほんとかなあ。なんとなく困惑する担当者の気持ちがわかる、気がする。しかしフォントを変えたところで着地点はそんなにかわっていない。
古着屋でアメリカのスポーツクラブのパーカーを買ったりするが、それは日本で言えば山形のフェスティバルといっしょなのだ。
イラストも学研のひみつまんが風だ。
「あとはこれですね。ただの貴乃花の手形Tシャツに見えるでしょ。違うんです。
ここに手を当てると正しい心臓マッサージができる、って位置に手形があるんです」
でも、これ、サイズによって手の位置が変わってしまうのではないか?と聞くと
「そうなんです。きっといいアイデアだと思ったんでしょうね………」
Tシャツの向こうに喜怒哀楽が見えてくる。まさにTシャツ道。
気になったのが四国運輸のTシャツ。どうということのないデザインだが、サイズが6L。
「6Lなんてサイズ、頼まれないと作らないですよ。きっと四国で荷物を運んでる屈強な男は大きいんでしょうね」
久米さんの想いはもう四国だ。南国の熱い太陽、おいしいカツオ、広末がそだった土地。このどうでもいいTシャツだけでもうおなかいっぱいだ。
|