住メンバー、いきなりピンチ
合羽橋。飲食店の業務用機器が揃う街だ。
店頭にさまざまな飲食店用の機器が並んでいる。住メンバーがいきなり反応した。
「これ事務所にあってもいいかなあ」
おしぼりをあたためる機械だ。こんなのが置いてあるデザイン事務所なんて見たことない。
「ほら、お客さんが来たときにもまずおしぼり出せばいいし、ねえ」
ねえ、ってもう完全にノックアウトされている。しっかりしろ!雪山で励ましあう登山隊のような気持ちでメンバーを店から引き剥がす。
しかし住メンバーの物欲はとまらない。
たこ焼き機の前でとまり、すしを乗せる板を購入し、ついには おかもち(ラーメンの出前の人が持ってる道具)を買おうかどうしようか迷っていた。
「これにプレゼンの道具一式を入れて持ってくんですよ。プロジェクターとマックとか入れて。ここにスープ引っ掛けるんですよ」
なぜ おかもち でプレゼンなのか。なぜスープをもっていくのか。すべての「なぜ」が無に帰してゆく。しかもおかもちは限定30個。限定という語に前後不覚になっている。
住メンバーは帰るときまでおかもちを買わなかったことを後悔していた。
かく言う僕もグレープフルーツとレモンの絞り機を購入。家で生グレープフルーツサワーができる。ひとつ1300円だったが、一生ものだったと思えばいい(自分をごまかしている)。
サンプルの店で
やっとサンプルの店に到着。
魅力的なサンプルが並ぶ。サンプルは精緻にできているだけあってそんなに安くない。すしがひとつ1000円ぐらいする。そのなか、すしサンプルが6個入ったパックが4000円で売っていた。お得だ。
安い、買わなきゃ、と騒いでいると住メンバーに声をかけられた。
「買わなきゃいけないことないですから」
は!そうだった。ついトランス状態に入っていた。と僕を正気に戻してくれた住メンバーだが、気づくと、トロ、ガリ、ビールのサンプルを購入していた。
溺れる僕を助けてくれた仲間が川に流されてゆく。
食品サンプルの店にこれ以上いると危険なので、業務用食材の店に移動することにします。
|