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はっけんの水曜日
崎陽軒シウマイ工場見学
シウマイ!!!

ああ、崎陽軒のシウマイだいすき。
赤い包装紙、かわいい「ひょうちゃん」の醤油入れ、おしぼり、竹のようじ。そして、お肉とホタテがたっぷりつまった、あの小さな粒、あの匂い。
崎陽軒のシウマイは、とくべつな雰囲気をまとっている。
普通に「ゴハンのおかず」というよりは、
「オミヤゲに買っていこう! 子供が喜ぶぞう!」
「よっしゃ、これから旅行に出かけるぞ、新幹線の中で、ビールと一緒に食べるぞ!」
など、お楽しみアイテムとして愛されているように思う。
人のテンションを上げる、不思議な魅惑のシウマイなのだ。

今年、崎陽軒横浜工場に見学コースが作られた。5月22日から実施されたばかり。さっそく見学をさせてもらった。
あのテンションは、どうやって作っているんだろう?

(text by 大塚幸代


ひょうちゃん。昔はフタがコルク製だったそう。

キュートな名取さん。案内有難うございます。

当時の制服姿のシウマイ娘と写真がとれるスペースも。

エレベーターの中にもひょうちゃんが。

崎陽軒工場見学へようこそ!

新横浜駅からバスで10分のところに、崎陽軒横浜工場はある。今年新しく出来た建物は、ピカピカだ。
崎陽軒の名取さんが案内してくれた。スリッパにはきかえて中に入る。中ももちろんピカピカ。

「おかげさまで見学コースが好評で、来月まで予約がいっぱいなんですよ」
───そうですか〜。どんな方の申し込みが多いんですか?
「若い方も、年配の方もいらっしゃいますよ。第1号の見学の方は、宮城からいらした、修学旅行生でした」
───おお、修学旅行生……。

コースの入り口には、「ひょうちゃん」をディスプレイしたコーナーがあった。コンプリートひょうちゃんコレクション! マニア垂涎だ。

「この醤油入れ、最初は、ただのひょうたんの形で、顔はなかったんです」
───なかったんですか?
「ひょうちゃんが生まれたのは、1955年なんですが……当時、ウチの会社の人間が、『フクちゃん』を描いたマンガ家の横山隆一先生と会ったときに、『これに私が目鼻をつけてあげよう』とおっしゃったのがきっかけなんです」
───え、ご自分から描くっておっしゃったんですか?
「『ひょうちゃん』っていう名前も、横山先生が付けたんです。いろは48文字にちなんで、48種類作って……当時はシウマイの箱の中に、『ひょうちゃん全国漫遊記』という、小さな栞も入れてたんですよ」
───それは以前、インターネットで見たことあります。フリーペーパーみたいなやつなんですよね。マンガのようになっていて、何種類もあって。
「ウチの会社にも、一部づつしか残ってないんです」

「面白そうだから、やっちゃえ」という軽いノリが素晴らしい。横浜の人は粋だ。頼んじゃった崎陽軒も、粋な会社だ。

「そのあと、創業80周年の年に、原田治さんの画のものを作ったんです。こちらは80周年にちなんで80種類つくったんです」
───「オサムグッズ」の方ですね。私はこちらのほうの絵柄に馴染みがあります。かわいいですねえ………んん!? よく見ると、お酒飲んでる絵柄のもありますね。
「ネクタイしてる、サラリーマンっぽい絵柄もありますよ」
───あ、ほんとだ。
「このあいだ、『ひょうちゃんの設定を教えてください。年令は?』って聞かれたんですが、困ってしまって(笑)。かつての広告で、妻と子供と一緒にサイクリングしてるアニメもありましたし………結構大人なのかなあ、とは思うんですけれど」
───妻子もいるんですか。知らなかったなあ。そもそもこれ、一応、ひょうたんなんですよね? シウマイじゃなくて。
「横山先生の設定では、ひょうたんです。ちなみに靴もひょうたんなんですよ。ひょうたんがひょうたんを履いているという」

妻子持ち、酒飲み、サラリーマン。ひょうたんで、ひょうたんを履いている。しかし何の生き物だかは不明。それを会社のマークにしている崎陽軒。のっけからテンションが高い。



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