絵の具
絵の具は鉛のチューブでなくなっていた。プラスチック製の容器だ。しかも回転するキャップではなく、本体から離れないキャップになっている。歯磨き粉と同じだ。キャップをなくす心配がない。
キャップをなくして仕方ないから同じ色ばかり使い続ける、なんてことをしなくていいのだ。青の時代のピカソは青のフタをなくしてしまっていたのかもしれない。
肌色は「ペールオレンジ」という呼び名になっていた。肌の色は人種によってまちまちだから。みどりは相変わらず「ビリジアン」だ。
3秒で乾く朱肉があった。押してすぐに触ってもインクが手につかないのだ。
説明員「すぐだと手につきますよね」 僕「手についちゃいますよね」 説明員「でもこれはつかないんです」 僕「おお、つかない」
説明が当たり前の領域から出ない。もっと化学的な説明もあるんだろうけど、ほかの人も「おお、つかない」と繰り返していた。微妙に面白かった。
光る天ぷら定食
自動で箔押しする機械もあった。それは別にいいのだが、サンプルで箔押ししてあったのが
「天ぷら定食」
なぜこの文字を金で書きたかったんだろう。金で書いてみると何でも面白くなりそうだ。コストのかかる芸である。
トンボの 蛍coatという蛍光ペン専用の充填インク。 蛍光ペンってかならずキャップがとれた状態で発見される。引き出しのなかとか、書類の下からカスカスの無残な状態で。
机の上でインクにペンをさしてるなんて、万年筆の重厚な感じがするのだが、この色合いはポップでちょっと揃えたくなる。