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特集


ロマンの木曜日
高尾山で滝にうたれる


険しい道を行く

ハイカーたちが続々と登ってくる

途中、上半身裸で打ち合わせをしている人たちもいた

修行場が見えた

険しい山道を抜けて行く

琵琶滝はその響きが琵琶の音に似ているから琵琶滝と名付けられた。とガイドブックに書いてあった。まず琵琶の音を良く知らないので、滝の音を聞いても名前の由来を実感出来ないだろう。
そんな事を考えながら山道を下るが、勾配がどんどん激しくなっていく。


年配の人向けのハイキングコースだ、とタカを括っていたがとんでもない。ぬかるんだ地面に足を取られ、山道に慣れない僕たちは及び腰だ。こんな山道を歩くとは予想もしていなかったので軽装で来てしまった事を後悔する。


下り始めて数分、すでに膝がわらっている。ヨボヨボと下って行く僕たちはリハビリの様な足取りで、そんな僕たちを横目に年配ハイカーたちはスイスイと登って来る。


更にしばらく下ると、かすかに水の流れる音がしてくる。
杖をつきながら登って来るおじさんとすれ違ったので、滝までどれくらいか聞いてみた。

「滝は近いですか?」
「音がするでしょ、滝の」
「あ、はい……」
「って事は近くにありますね」
「はあ……」
「あと5分くらいです」

最初からあと5分くらいって言えばいいのに。
「ああいう対応、腹立ちますよね。」
回りくどい対応に僕が腹を立てていると、
「そういう怒りも滝に打たれるとすっきりするかもしれないですよ」
林さんからアドバイスが。

林さんは滝修行を万能薬の様にとらえている様で、僕も段々そういう気になってくる。
こないだなくした免許証とか出て来るかもしれない。が然滝修行への期待が高まっていく。


かつて、この山で修行に励んだ先人たちもこうやって険しい道を越え、滝にうたれ無我の境地から自己を見つめ、ついでに探し物も見つかったりしたのだろうか?


ケーブルカーの駅から下ること20分。ついに修行場が見えて来た。
額をつたう汗を泥で汚れた手で拭う。

あそこになくした免許証があるのか?



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