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はっけんの水曜日
ほんものウォーターボーイズをみた!
 
それはむかしむかし、80年代の終わりのころ。
S県のとある市に、とある男子校があったそうな。
男子校生徒は日々「モテたい…」と思っていたそうな。
そんなある日、夏前に部活を引退した3年生水泳部員が、「9月の学祭の出しものでさ、プールの横を喫茶店にしてさ、プールの中でシンクロとかやったらウケないかなあ?」と言ったそうな。
「それ、面白い!」と彼らはなぜか実行。最初は水中組体操のようだったシンクロも年々磨きがかかり、パフォーマンスとしての完成度を増し、「お茶を飲むときの余興」ではなく「立派なショー」として近隣で有名になってしまったのだそうな。
しまいにはテレビのニュース番組が取材に来て、それをきっかけに映画化され、ついでにテレビドラマ化もされてしまったそうな。
 
それが埼玉県立K高校と、映画&ドラマ『ウォーターボーイズ』のあらまし。
 
私は当時、K高校の隣の女子高に通っていた(劇中の「桜木女子高」のポジションだ)。K高校の文化祭に行ったことはあるけれど、生まれた瞬間の「ウォーターボーイズ」たちを観ることはなかった。「男子校ってなんか全体的に汚れてるっちゅーかキタナイなー」とぼんやり思って帰った程度だ。K高校の男子とお付き合いしたこともない。
シンクロについては、映画化されて初めて知った。「故郷のことが映画になる!」と興奮した友人に連れられて、映画館に行ったのだ。面白かった。とくにクライマックスの、シンクロのシーンが圧巻だった。
これは本物も見たい、そう思った。
 
「でもなあ……当時『モテたかった』少年たちを無視したのに、今さらチヤホヤするのって、なんか、ヒドくない?」と自問自答しつつも、9月7日、K高校の文化祭に行ってしまいました。えへへ。

(text by 大塚 幸代


すさまじい人気

K高校のシンクロは、当日朝、整理券が配られるという。これはゆっくり行ったら観れないかも、と同行してくれる友人と電話で作戦会議をした。
 
「K高校水泳部のサイトみたら、文化祭自体は土日で、公演は土曜日5回、日曜日6回だって」
「うへえ、すごい。ジャニーズのコンサートみたいだねえ」
「で、整理券を開門時間の9時30分から、土曜日4500枚、日曜日5400枚配るみたい」
「うーん」
「これさあ、朝、配りはじめる時間に行って、5000人並んでるってことはないんじゃない?」
「だよねえ」
「じゃあ朝イチで行くかあ。じゃあ朝9時に駅集合ね」
「まじでえ」
「私達もスキよねえ」
「ねえ」
 
お互い、自分のバカぶりを笑った。しかし、私たちだけがバカなわけではなかった。


駅には女子同士の待ち合わせが多数。
バス乗り場は女子高生だらけ。

女子だらけ! しかも皆が「シンクロ」目当てっぽい! 気持ちがあせった。
しかしなあ、みんな休日なのに制服だなあ、私が現役の頃は私服でせいいっぱいオシャレして出かけたもんだけどなあ、と思いながら歩いていくと、K高校のハッピを着た男子が走ってきた。彼の持つプラカードにはなんと!!




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