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特集


ちしきの金曜日
 
フランス1万kmまじ聖地への旅
ここがあこがれの地

おととし聖地の本を読んで、手っ取り早く福島のリカちゃんキャッスルや、どらえもんの故郷練馬を訪ねる旅をしてみた。

あれから2年。なんとその聖地本の中で最も行ってみたかったマジ聖地、フランスは中央山地の中にある「ル・ピュイ・アン・バレー」に行くラッキーだかバツゲームなんだかよくわからない機会を得た。その隣の県庁所在地クレルモン=フェランで行われるショートフィルムの映画祭に、出張することになったのだ。

あまりにも山奥で(それもフランスの山奥)、一生行けないと思っていたのに。これは行かねばなるまい。
オープニングセレモニーとブース設営の合間の一日をぬって、私はフランス最大の聖地に出かけることにした。

(text by 黒田由美



よくわからんが、がんばって行って来い!
これが巡礼ルート。これは歩けません

竜王に会えるのか?

聖地出発の前日、映画祭のスタッフとゴハンを食べていて「明日、Le Puy en Valleyって所に行こうと思って」と話してたら、日本に住んでるけどパリ育ちのフランス人(日本語しゃべれない)、ドゥニが「僕知らないよ、どこ、そこ」と聞いてきた。えー!知らないのー?スペインのなんていったっけ、すごい聖地、キリスト教の三大聖地のひとつ、「サンティアゴ・デ・コンポステラ」そこそこ、そこへ歩いて行く巡礼、なんてったっけ「Pelerinage」そうそうペレリナージュの出発点がそこなんだよ。「知らない。彼女に聞いてみよう」と、いきなりレストランのウェイトレスに聞くも、「だめだ、知らないって。彼女はニースの出身って言ってるから知らなくてもしかたないか」

パリだかニースの出身だか知らないが、フランス人も知らない場所に、ひとりで行こうとしている日本人。大丈夫だろうか。教会が岩の上にそびえてるドラクエの搭みたいな写真を見てもらうとわかると思うけど、かなりあやしい場所なのは確かである。だからこそ行ってみたかったんだけど。正直不安。


最初に会った町の人:ホテルのマダム。マルチーズ2匹を飼っている

とりあえず出発する

クレルモン=フェラン到着以降、ネット接続に苦戦していて、貴重なお休みの今日も午前中海外ローミングを試みて失敗。出発が大幅に遅れてしまう。すでに11時。『地球の歩き方』を読むと「クレルモンフェランから急行で約2時間」と書いてあるので、「そっか。駅に行けばいいんだ」と思ってホテルのマダムと話してたら、「このホテルの裏に小さな駅があるから、そこから行けばいいわ」と言われた。苦難の道の始まりである。


最初の目標:ホテルの裏の駅。どこなんだよ

駅が見つからない

マダムに教えられたとおり「まっすぐ行って左に行って右に行く」とすっかりそこは山道だった。こんなところに駅があるのか? 思えばこのホテルに着いて1日目、町に行こうとして歩き始め、思いっきり隣の町に2時間かけて着いてしまった。そう、私は方向音痴なのだ。いったい駅はどこに・・・車しか通らないくねくね道を何度も往復して、30分くらいかけてようやく線路らしきものを発見した。


裏山下の駅:なんて読むんだ?この駅

駅員さんに助けられる

なんと裏山の下に駅があった。それもかなり立派な駅である。さっそくみどりの窓口みたいな所で「ル・ピュイ・アン・バレーに行きたいんですけど」と言うと「パリ?」とすかさず聞き返された。ニューヨークのマックでコーヒーを頼むと毎日コーラが出てくるのと同じだ。
しかしここでめげてはいけない。なんとかフランス語で意思を伝えると、「最初にクレルモン=フェラン駅で乗り換えて、ブリウードでバスに乗り換える。気をつけて」と言われる。バスに乗り換える???
まじっすかー。急行で2時間って書いてあったじゃん、旅行者のバイブルに。国鉄とバスで合計3時間くらいかかるみたいだ。
しかも切符を見ると「2時」と書いてある。えー!2時まで電車ないのー?
とぼとぼと帰ろうとすると「ちょっとちょっと、今日乗るんでしょ?12時に電車が来るよ」とわざわざ道まで追いかけて来てくれて、切符をよく見ると2時はバスに乗り換える時間だった。ほんとに着けるのか、私。


 

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