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特集


ひらめきの月曜日
 
証券取引所の手サインよ永遠に


1972年、立会場の冷房が壊れ氷柱を立てながらの取引。
このカウンターが押し合いへし合いになった

手サインエピソードいろいろ

--やっぱり入社当時は相当練習するものなんですか?
「数字は通勤途中にポケットの中で練習したりしたかなあ。取引自体は練習できるようなものじゃないその場その場のものなので、上司の側について実地で覚えましたね」

--人によってサインの上手い下手ってあるんですか?
「入ったばかりの頃、大ベテランの方のサインが分かりにくかったことがありました。こ慣れすぎてて」
--ネイティブの英語が聞き取りにくいのに似てますねえ。

-- 背の高い方が見やすいとかはあるんですか?
「そんなに関係なかったと思いますが、背が高いと手サインで伝えられた注文を出すときやりやすいってのがありましたね」
--注文?
「注文するカウンターに、活況になるとウワーっと人がたかるんですよ。そのとき体が大きいと、ごり押しで行ける」
--ロックのライブみたいですね。
「慣れてくると面も割れて、するするっと前線に滑り込めるようになるんですけどね」
--ますますライブみたい。

--取引以外の連絡も手サインでしてたって聞いたんですが。
「そうそう、丼をかき込むジェスチャーで単純に“食事”とか、“トイレ行ってくる”は昔の水洗便所みたいに紐を引っ張るジェスチャーで伝えてましたね」

へえー。あの広い立会場で、金と一緒にご飯やトイレの情報が行き交っていたとは。話を聞くと、さっきまで得体の知れない存在だった手サインも妙に身近だ。


これなんですが…
うーん「デイリー」ですか…

デイリーポータルZで手サイン

だいぶ手サインの片鱗は見えてきた。しかし、これから完全に習得しても、立会場でかっこよく手サインを送るのは今や叶わぬ夢だ。

仕方がないので、なんとかこの手サインを身近に活用できないだろうか。「デイリーポータルZ」を手サインで表してみたらどうだろう。沼野さんにお願いしてみた。

「実際に働いているときは既にあるサインをやってただけなので、自分でサインを考えるのは初めてですよ」

そこをなんとかお願いしますと、無理を言って考えていただいた。 結果、“デイリー”はおデコを、“ポー”は頬をさわり、“タル”は丸(マル)を作って表すことに決定した。これで“デイリーポータル”が手サインで売買注文し放題だ!

そんなわけで、最後に「デイリーポータル、1,050円で、買い」のサインを送ります。ここで使った最後の“買い”は活況の時に使う“とにかく買う”というサイン。

僭越ながら、1,050円というのは当デイリーポータルの本「おとなの自由研究」の値段となっております。書店等で買うかどうか迷っている方がいたら是非遠くからこの手サインを送ってみて下さい!


デイリーポータル、1050円で、買い

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ああ、一度活気ある立会場に立って手サインを送ってみたかった。手サインはもう誰も使っていないし、保存の動きもないのだという。ちょっと寂しくはあるが、必要ないものに対する後くされのなさがいかにも商い人という感じで、チャキチャキっとしてて潔い。

せめて株でも買って「売りだ!」「買いだ!」の気分を味わってみようか。そうなるとまずは運用資金が必要だ。資金ですか…。証券取引の世界への憧れは果てしない。

東証アローズそばの兜神社では証券マンのみなさんが景気回復を祈願してました

 

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