●タコと家に帰る
そんなフリータイムがいつまでも続くわけではない。どんなにのびのびと振舞ってみても、すでに囚われの身のタコ。捕まえた先のことはあまり考えていなかったが、やっぱりここは持って帰るしかないだろう。
助手席にタコバケツを乗せて家まで車を運転。海に背を向けがちだった昨日までの自分には絶対になかった展開。
外と比べると薄暗い部屋にバケツを置くと、タコの色がずいぶん変わっていることに気がついた。タコは敵の目をくらませるため周囲の色に体色を変化させると聞いたことがあるが、なかなかいい線で色を変えている。
あんまりいろいろなことは考えてなさそうだが、周りの空気を読む能力には長けているタコ。こういう部分は素直にタコを見習いたい。
●さらばオクトパス
試しに赤い色のビニール袋の上に出してみると、あっという間に赤っぽく色が変わった。変化する間は1秒くらいだろうか、またたく間に変わる様子はかなりのおどろきだ。
野生では命に関わることでもあるゆえの速さ。私もタコに習って周りの空気をすばやく読めるようにはなりたいとは思うが、別に体の色は変わらなくていい。
さて、ここまでいろいろとタコとたわむれてきたが、そろそろお別れのときだろう。今回の経験でタコを好きにはなったけど、それよりもっと好きなのはタコの刺身だ。
タコよ、今までありがとう。さばき方しらなくてごめんね。適当に切るよ。
…なんとなく切った割には、それっぽく盛り付けると予想以上においしそうに見えるタコ。これ以上ない捕れたて活作りだ。
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