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特集


ちしきの金曜日
 
ボタンに魅せられて
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 ぴょこんと出っぱっていて、押すと何かが起きる。僕らはそんなボタンが大好きだ。

 勢いあまって「僕ら」などと大きく出てしまった。しかし、子供のころ押しボタン式信号のそれを意味なく連打した覚えのある方も多いだろう。

 中学生のときには廊下の非常ベルが押されて大騒ぎになったこともあった。ついにがまんしきれなくなった誰かがやってしまったのだろう。

 ボタンを押したい。大人になって分別がつくようになった今も、気持ち自体はおんなじだ。

 思い詰めるほどに魅力を増していくボタン。今回は様々なボタンの観察を通して、ボタンシーンの今を切り取ってみたい。

(text by 法師丸


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王道のたたずまい
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じっと見つめて我先にと押すボタン

●押す人限定のボタンたち

 街で見かけるボタンとして、やはり押しボタン式信号のボタンははずせない。でっぱり具合・押し応えとも文句のつけようのないボタンである。身近なボタンながら、指先1本で走っていた車が止まるという効果のダイナミズムも十分だ。

 渡らないときは押せないボタン。だからこそ渡るときは意味もなく連打してしまうのだろう。

 別に渡らなくてもいいんだけど、まあ渡っとくか。そんな気持ちで押したことのある人もいると思う。いつでもボタンは僕らを誘っているのだ。

 路線バスの押しボタンもまた魅力的だ。バスに乗った以上はいつかは押す必要のあるボタン。今か今かと待ちかね、目的の停留所のアナウンスと同時にプッシュ。

 ボタンを押すと、バス中のボタンが光るという効果もすごい。ボタンを1個押しただけなのに、全部が光るという喜びがある。

 終点まで乗るときは、残念ながらボタンを押す必要がない。たまに終点なのに押す人がいるが、あの気持ちはよくわかる。

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 ファミリーレストランの店員呼び出しボタン。「ご用の際は」と書いてあるのに、手持ちぶさたになるとつい押してしまいたくなる魔力がある。
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 自動販売機の不良硬貨返却ボタン。角ばったソリッドな感じが男らしいが、押しても出てくるのは不良硬貨というかなしみもある。
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 電車の中の非常ボタン。非常の場合に押せというのはわかるのだが、押したらどうなるかという部分が不透明な謎めいたボタン。
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 立ち食いそば屋の券売機。ただでさえメニューを決めるのに時間がかかるのに、こんな風に迫られるともうどうしていいのかわからなくなる。
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 ラジカセについていた操作ボタン。この場合のスキップの意味はわからないではないが、それにしてもスキップという響きに心おどるボタンだ。
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 蛍光スタンドのスイッチ。ボタンに見えるが、実は押すことなく触れるだけでよい。それでいいのか、僕らはあくまで押したいのではなかったか。

●人を不安にさせるボタン

 ここまでは比較的親しみのあるボタンを見てきたが、ゲームセンターもまたボタンの宝庫である。そこでは日常生活の中では決して考えられないレアなボタンが多々見られる。

 たとえば右の写真のボタン。サングラスをしたブタの絵が堂々とあしらってある。

 普通ありえないこのデザイン。決定とかストップといった目的はあるようだが、その前になぜこんなボタンになったのかが気になって仕方ない。

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きみはなんなんだ

 

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