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特集


ひらめきの月曜日
 
げんなり寿司 へらへら餅

げんなり寿司ください

和食 魚八さんは山間の別荘地にある近所の人が訪れるようなご飯やさんだった。木の引き戸と白に黒字の暖簾にやや緊張するも、入ってみると有線と思われる演歌が流れ、客席はオール座敷。目の高さに設置されたテレビからはNHKニュースが流れているという落ち着ける雰囲気。

げんなり寿司と金目鯛の店

「すみません、げんなり寿司ください」
「え?」
「あの、げんなり寿司を」
「げんなりのコースですか?」
「いえ、お寿司だけで…」
「げんなりだけね、ハイ分かりました。(厨房に向かって)げんなりひとつ」

お店の人的には「げんなり寿司」はすっかり「げんなり」呼びだ。げんなり、という言葉が完全に副詞としての機能を失っている。何の疑いもなく連発される、げんなり。清々しい。

「はい、げんなり、お待たせしました」



うおお! 確かにでかい! はみ出す具、ぎゅっと角形に押してあって相当詰まっているご飯。マグロの刺身なんて、こんなカットの大きい状態で皿に乗ってるの見たこと無いぞ。

げんなり寿司は、その量の多さに「食べる前からゲンナリしてしまうから」という説も「食べた後にゲンナリしてしまうから」という説も両方ある。とりあえず食べる前段階ではゲンナリというよりもビックリという感じ。量の多い食べ物ってときめく。お腹も空いてるしこの量ならむしろウェルカム。


げんなり へらへら

実はげんなり寿司以上にでかいものが、お盆の上には乗っていた。


味噌椀、でかい

どんぶりのよう

主役を凌駕するサイズ。お寿司やさんのお椀は大きいことが多いが、それにしても大きすぎるんじゃないか。何にせよ遠近感無視のセットである。

食べてみると、げんなり寿司は土台の部分の素飯はやや甘め。きっちりご飯が詰まっているのにふわふわのほろほろだった。真ん中の金目鯛のそぼろは初めて食べたけどさっぱり甘くて大変に美味。カニのおみそ汁も小鉢(もろきゅうにフキとインゲンの煮物)もすばらしい美味しさでペロリ完食でした。


げんなり   へらへら

中には甘く煮た人参が

聞くと今回食べた寿司は お店仕様で、ご飯の量は1合程度。本来のげんなり寿司は、卵、金目鯛のそぼろ紅と白、マグロの赤身、椎茸の5つつの具がそれぞれ別のすし飯のかたまりに乗っけられたもので、全部で5合ぐらい分にはなるらしい。

確かにそれ全部が出てきたらげんなりもするかも…。今でもご祝儀返しなどとして普通に自宅で作るそうです。


菅井きんさんや赤塚不二夫さんなどそうそうたるメンバーのサインと、稲取名物のつるし雛

魚八のみなさん。「もう慣れているので、げんなり寿司は見ても食べてもげんなりしません」

続いてはへらへら餅を求めてお隣の熱川へ。この満腹の中、駅へ向かって40分の道のりを戻るのはややげんなりですが、いい腹ごなしだと思って行きましょう。


げんなり へらへら

駅に戻る途中。また海を撮っていた


 

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