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土曜ワイド工場
 
コロリンシュウマイを追いかけて

この夏も、実家のある群馬へと帰省した。その折に、何かデイリーポータルZでのネタになるようなものはないかと探していたら、ふとご当地ならではのものを思い出したのだった。

「群馬県の桐生市には、『皮だけのシュウマイ』がある」

コネタとしてこんなタイトルで送り出す予定だったが、「工場」つながりでもあることだし、そのシュウマイ「コロリンシュウマイ」をめぐるロードムービーを今週は特別枠でお送りします。

(text by 乙幡 啓子



して、「皮だけのシュウマイ」とは

学校帰りに移動販売の車で買い食いしたことはあるだろうか。今はあげパンやドネルケバブ、エスプレッソコーヒーなどさまざまなメニューが街を移動しているが、小さいころうちの地元などでは「エピーのパン」「魚屋」「焼き芋」くらいであった。

そのなかで、学校帰りのすきっ腹を刺激するようなアナウンスの移動販売車が、桐生の街を走っていた。 「やすくてー・・・おいしい・・・コロリンシュウマイは・・・いかがでしょうかー・・・」


「桐生名物」らしい

コロリンシュウマイ???どうやらシュウマイらしい。「らしい」というのは、その車になかなか出会えず、よって誰も食べたことがなかったから。でもそのアナウンスは耳によく残り、学校帰りの思い出のひとつになっていた。 「やすくてー・・・おいしい・・・コロリンシュウマイは・・・いかがでしょうかー・・・」

 

謎の食べ物、コロリンシュウマイ

しかし、とうとうある日、コロリンシュウマイを親に買ってもらえるときが来た。それまでそういうものを買ってくれなかった親が、なぜ急に財布の紐がゆるんだかは覚えていない。買う場面もまったく覚えていないので、もしかしたら友達のうちで供されたのかもしれない。

とにかく、小さいころに1度だけ、食べる機会があったのだ。その感想は・・・

「何これ!皮だけじゃん!中身の肉とか、ほとんど入ってないよ!」というものだった。事実、中に入っていたのは、たまねぎとおぼしき野菜が少々、あとはデンブン質のカタマリのようだ。とにかく見ていただこう。




親指と人差し指で「OK」マークを作ったときの大きさくらいなシュウマイ。しかし中身はほとんどない。これが、シュウマイだろうか・・・小さいあたしは戸惑った。

しかも醤油じゃなくてソースにつけて食べるのだ。その謎を今日こそ解き明かしたい。きょとんとするだろう読者の方を尻目に、自分だけでもすっきりしようと思った。でもその思いは桐生市民皆の共通の思いでもあるのだ。ヤマトの主題歌のような心境でお店に向かった。


関東の彼方、桐生へ運命背負い今旅立つ


 

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