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特集


ロマンの木曜日
 
30年振りのプロ野球なのにストが…
プロ野球史上初のストライキ突入か回避か。労働組合・日本野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)と日本プロ野球機構との話し合いがまとまらなければ、9月11日(土)、12日(日)に予定されていたプロ野球の全試合が中止となる。決断までのタイムリミットは9月10日の17時。

そんな状況の中、9月11日は30年振りにプロ野球がやって来るのに、という街があった。栃木県足利市。30年振りなのに、もしかしたらストライキで流れてしまうかもしれない。そういう微妙な状態の足利市の様子を見て来ました。


(text by 住正徳



スト突入は避けられない?
りょうもう号で足利へ向かう
雨は本降り。スト回避でも雨天中止とか
ラジオのニュースでスト回避の情報が
球場内にある事務局を訪ねる
テレビクルーから取材されそうになった

9月10日午前11時。スト決行か?

9月10日。スポーツ新聞各誌はこぞってストライキ関連のニュースを一面で伝えていた。記事に目を通すと、かなりスト突入の公算が高いようだった。

30年振りのプロ野球、というスペシャルな状況にある足利市もその例外ではなく、スト決行ならば、予定されていたイースタンリーグ(2軍)公式戦、ヤクルト・巨人戦が中止となってしまう。

今回の試合を主催する足利野球協会さんに電話をかけ、開催前日の様子を問い合わせてみた。

「大変心配しております。とにかく今日の17時にいい結果が出るのを祈るだけです」

朝から明日の試合準備を進めつつ、一方でストが決行された場合に備えて、前売券の払い戻しなど諸対応のマニュアルを作成しているという。

正直、ストライキになって30年振りのプロ野球が流れてしまった方が話としては面白い、不謹慎ながらそう思っていた。でも、電話で野球協会の方と話しているうち、その深刻さが伝わってきて、そりゃあそうだ、何といっても30年来の大イベントだし。
野球を愛する足利の人たちや、プロ野球選手に憧れるちびっ子たちの為にも、出来ればストライキ突入の事態は避けたい。電話を切った時にはそう思える様になっていた。

9月10日15時40分。現地へ

15時40分浅草発の特急りょうもう号に乗って現地に向かった。
タイムリミットの17時までに現地に入り、決定の瞬間を現地で見届けたいと思った。

勿論、スト回避で喜ぶスタッフの人たちの姿を見たい訳だが、スト決行となって意気消沈してしまうスタッフ、という絵柄にも興味がないわけではない。

9月10日16時50分。足利市駅に到着

浅草から70分ほどで足利市駅に着いた。タイムリミットまであと10分。駅からタクシーを飛ばせばまだ間に合う。

浅草では小降りだった雨がすっかり本降りになっていた。スト回避でも雨天中止になってしまうんじゃないか? 試合が開催される予定の足利硬式野球場はドームではない。

タクシーの運転手に「野球場」と行き先を告げると、ミラー越しに僕を見て首からカメラをぶら下げているのに気付き、明日の試合の取材か何か? と聞かれる。ええ、ストライキかもしれませんけど、あっそういえば、ニュースやってませんかね?とラジオを入れてもらうと、ちょうどストライキ関連のニュースが流れていて、何と、ストライキは回避されたと言っている。

「えっ? 回避されちゃったんですか? スト?」

されちゃった、という言葉が出て来るあたり、やっぱり本音では「スト決行」に期待していたようだ。いかんいかん。

9月10日17時05分。硬式野球場

球場内にある足利野球協会さんの事務局を訪ねた。

入口で担当の方が来るのを待っていたら、テレビ局のクルーにカメラを向けられ「前売りを買いに来たんですか?」と聞かれた。いや僕も取材です、と答えると少しがっかりして照明を落とした。

スト回避のニュースを聞いて早速チケットを買いに来た地元の人。
そういう絵が欲しかったのだと思う。


 

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