お年寄りたちの体力測定大会
敬老の日記念・第30回体力測定の集合時間は早かった。神宮外苑絵画館前に午前7時30分。普段なら確実に寝ている時間だ。
半分寝ぼけた状態でフラフラと絵画館前に到着すると、そこにはやけに元気なお年寄りたちが沢山いた。
そうだった。この体力測定は日本万歩クラブという財団法人が企画していて、今回の参加者はその万歩クラブの会員さんがほとんど。つまり、ここに集っているのはただのお年寄りではなく、日常的に1日1万歩を目安に歩いている「体力にはちょっと自信アリ」な人たちなのだ。スキを見つけてはタクシーに乗り、地下鉄の乗り換えすら億劫な僕とは、毎日の心掛けが違う。
お年寄りと一緒に体力テストを受ければ、自分の体力に自信が持てるんじゃないか?
そんな横しまな気持ちで申し込んだものの、とんだ思い違いだった事に気付く。
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受付で万歩クラブの責任者、中村さんにご挨拶。基本的にはお年寄りを対象としている中、無理を言って参加させてもらった。
「朝早くて大変でしょ」
相当眠そうな顔をしていたのだろう、ここはえへへと苦笑いでやり過ごす。
「普段から歩いる人ばっかりだから、みんな元気ですよ」
えへへ。そうですね。
「まあ、今日はがんばってってください」
えへへ。終始苦笑いのまま中村さんとの会話が終わる。
まずは基礎項目測定
体力測定の前に基礎項目を測定する。血圧、心拍数、体脂肪率、骨密度。
「さすがに若いですね〜。バッチリですよ」
と、ここまでは測定者から誉められる。
いやあ、そうかなあ〜、あんまり自信なかったんですけど、とすっかりいい気になって基礎測定は終わり、いよいよ体力テストに入る。
最初のテストは握力。握力計を左右1回づつ、力強く握る。ムギュ〜。
「左右平均で38キロですね。体力年令は……、55才です」
……55才?
段々雲行きが怪しくなってきた。
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