シンプル・イズ・ベスト

究極のハンバーグの主役は近江牛のすじ肉。この肉をミンチしたものと玉ねぎを混ぜ、つなぎには卵を使う。材料はそれだけ。極めてシンプルだ。

「色々と試行錯誤した結果、この組み合わせに落ち着きました」

とり肉と豆腐で試したり、納豆を入れてみたり。おいしいハンバーグを作る為に相当研究したという。店に出すメニューじゃないのに。

そういえば京菜さん。10月に発売される「おとなの週末」という雑誌で、東京の和食屋ベスト20に選ばれたらしい。今まで、オリジナル焼酎を置かせてもらったり、色々な納豆を持ち込んだり、申し訳なかったです。

今後、更に京菜が発展する事をお祈りしますが、今日はちょっとすみません。ハンバーグの方を宜しくお願いします。

調理開始。焼き上がりを待つ

すじ肉と玉ねぎと卵を充分に混ぜ合わせ、フライパンで焼く。じゅーという音を立ててハンバーグに焦げ目がついていき、肉汁が溢れ出てくる。

「すじ肉を使ったハンバーグなんて他にないと思いますよ。本当においしいですから」

ハンバーグの焼け具合を確かめながら金澤さんが力強く言った。
順調に焼けていくハンバーグを見て、自信が確信に変わったのだと思う。

厨房を覗き込む僕たちの期待は高まる一方だ。