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特集


ひらめきの月曜日
 
一日魚屋修行
幼稚園の年少さんの時、私は魚屋さんになりたいと思っていたようだ。アルバムにそう書いてある。世間のチビッコの例に漏れず、食べるなら肉の方が好きだったが何でだろう。

アルバムを読み進めると、年長さんになると将来の夢は唐突にマンガ家へと転換している。が、マンガ家になれなかった今また「お店やさん」という職業に憧れる気持が高まってきた。

そうだ、確か私は魚屋さんの海じゃないのに海のような、店のにおいが好きだったのだ。魚屋さん! 魚屋さんやってみたい!

今回はあるお店に頼み込み、幼少の夢を強引に叶えてきました。

 

(text by 古賀 及子



朝。配達用の車が店内にすっぽりおさまってた

若だんな。一昨年結婚した際、披露宴に西郷輝彦さんを呼んで親戚一同のドキモを抜いた

ヒデさん。なんと勤続47年。毎日朝4時になると自然に目が覚めるという

前日、社長に体験入店を頼み込むの図
「まあ、しっかりやんな」

魚屋さんのTM、ゴム長ぐつを貸してもらう

朝6時、出勤

今回お世話になるのは東京赤坂の「浜や」さん。実は、私の母の実家だ。祖父母とも亡くなって今は叔父と従兄弟とヒデさんという店員さんの3人でやっている。

古賀の特集記事はネタに困ると家族が出てくるとよく言われますが、ついに第三親等、第四親等までくりだしますことをご了承ください。

さて、この浜や、近所の料理屋に魚を卸すのが中心で、「はいっ、らっしゃいっ、今日はサンマが安いよー」的な商店街にあるような魚屋さんとはちょっと違う。店頭での小売りも一応しているが、ほとんどが配達。思い描く魚屋像とはズレるが致し方あるまい。

朝6時に店に着くと、出勤ずみの若だんな(従兄弟です)とヒデさんが留守電をチェックしていた。料理屋から夜のうちに留守電で注文が入るのだ。

「ピーッ ○○です。オコゼ2本とカツオひと節、いいやつをお願いします。以上です。ええと、少なくてすみません。○○です」
「ピーッ ××でーす。イケダイ2枚、イケハモ900ぐらいを1本お願いします。海苔は今日は結構です。××でーす」

留守電からは店名に続いてハッキリした口調で色々な種類の魚の名前が流れる。おお、魚屋だ、間違いなく魚屋に来てるぞ。眠い目が開いた。

浜や、一日の流れ

留守電から注文をまとめると早速魚を仕入れに河岸(カシ)へ行く。築地だ!

浜やの1日はとてもシンプル。築地での仕入れから帰ってくると、さばく必要のあるものはヒデさんがさばき、その間に若だんなが車で午前中の配達をする。

そうこうしている間に電話で追加注文が入って、若だんなは再びカシへ。カシが閉まるのは11時なので、注文によって間に合えば何度でもカシに行くそうだ。

配達から戻ってくるとだいたい12時。ここでヒデさんは退社する。ヒデさんは12時までの勤務だ。仕事が12時で終わるってすごい。アフターファイブならぬアフタートウェルブ。ただし5時半出勤。

午後からは地方発送を手配をしたり、午後からしか開かない店へまた配達する。そうこうしている間に17時になって閉店。

因みに社長である叔父はカシへは行かず、9時ごろ出勤して帳簿をつけたり店で小売りを担当する。リアル重役出勤だ。

つまり、仕事のほとんどが配達というわけだ。思いの外、地味。勢い、1日のハイライトはしょっぱなのカシということになる。

「じゃーそろそろ行くかあ。カシは楽しいぞー」
注文をまとめる間、ずっとリラックスしてイスにもたれていたヒデさんの目が魚屋の目になった。

朝6時半、早朝からテンション上げて行ってみましょう!


このステッカーが貼ってあると車で場内へ入れる

東京都中央卸売市場築地市場、築地のカシへ乗り込む

 

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