小学館ビッグコミックスピリッツの「美味しんぼ」に、「骨のない魚」という話が出てくる。まあ要は、魚の中身を取り出して皮だけにし、肉を練って詰めたものである。
初めて魚を一からさばいたということもあり、写真をとりまくる。全ページほとんど、ヒカリモノ写真のオンパレードになってしまいました。
(text by 乙幡 啓子)
大物ではこわくて作れない
その「骨のない魚」、「美味しんぼ」では、成績不振におちいったレーサーがその元凶である不眠症を、「骨のない魚をごちそうします」という主人公の謎の一言で克服する話として登場する。
骨のない魚ってなんだろう?なんだろう?・・・と考えるうち眠ってしまっていたレーサー。私は彼ほどひたすらに思いつめたりはしないが、その描写から、なかなかにひかれるものではある。
で、決めた。今日は骨のない魚を作るぞ。
作中では、全長50cmはあろうかというボラの類の魚を使っているが、魚をさばいたこともない私、いきなりそんな大物には挑戦できない。失敗したときのことを考えるととても恐ろしい。足がすくむ。そこで買ってきたのは、「いわし」だ。千葉の「生いわし 刺身用」と、札には書いてある。
さて・・・。魚の原型をとどめるのが必須の料理なので、自分で魚をさばくことが要求されるというわけだが、正直初めてのことだけに少々気後れがする。
買ってきた翌日、つまり賞味期限を1日過ぎ、やっととりかかることにした。幸い、いわしのさばき方は手持ちの本に載っている。
気がついたら、お湯を沸かして焼きそばに注いでいた。何やってるんだ私。
とにかく3分待って湯切りをすまし、食べ終わって落ち着いたらとりかかろうと思う。何事も心の平静が必要だ。