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特集


はっけんの水曜日
 
お一人様、朝までカラオケ

カラオケ、好きですか。誰と行きますか?
私は友だちが少なく、その中にカラオケ好きな友だちがいないので、滅多に行かない。
会社員の頃はよく行った。でも、メンツによって気を使った選曲になるので、のびのびと歌うことは出来なかった。

「……いっぺん、ひとりで行ってみたい」

私は終電車に乗って、新宿にあるカラオケ店の、「終電の時間から朝まで2000円ポッキリコース」に向かった。

(text by 大塚幸代


終電近い電車はガラガラ。ぽつり、ぽつりと座っている人たちは、どういう事情で夜中の新宿に向かっているんだろう。

……ひとりカラオケ決行日に決めていた、この日曜日の夜、私は疲れていた。うっかりこの直前に、7時間に及ぶ某学園祭ライブに行ってしまったのだ。しかも、好きなアーティストのライブがとても良かったので、年がいもなく最前列まで突っ込んでいき、目をキラキラさせて踊り狂ってしまったのだ。
大丈夫だと思っていたのだが、30女の身体はもうギシギシだ。しかも風邪ぎみで熱っぽい。
でも歌いたい。

電車吊り広告の中に、サンリオのイベントの告知を見つけて「キティちゃんって、でかいハリボテになればなるほど、なーんかコワイよなあ……」などと、どうでもいいことを考えながら、西武新宿駅を降りる。改札を出て、歌舞伎町を突っ切る。日曜日の0時なのに、人がたくさん歩いてる。……山手線の終電は、1時まであるからだろうか。

目的地は新宿区役所の横にある、有名カラオケ店「パセラ」だ。ちなみにこのパセラのそばには、数年前、中学生が爆弾をしかけて棚が爆発したエロビデオ屋がある。負傷者はナシ、でも大騒ぎになった。一旦閉店したのだが、今もまた別のエロDVD屋が入ってる。



「いらっしゃいませー!」
不自然なくらいにパキパキッとした応対のフロント。レベルとしてはファーストフード並みだ。
「すいません、朝までのコースで…」
「おひとり様で?」
「あ、ハイ」
フロント男性は、0.2秒くらい「ん?」という顔をしたが、すぐに笑顔に戻った。ここは新宿、何でもアリの街、女がひとりでフラリとやって来ても、嫌な顔はされない。
「それでは飲み放題コースはお付けになりますか?」
「……えーと、そうするとどうなるんですか?」
「お部屋料金の2000円のほかに、1000円、あわせて3000円で飲み放題になります」
「じゃ、それで」
「……はい、ではこちら、お2階207号室で。ドリンクの注文はリモコンでお願いいたします」
「はいー」



あっさり入室。ひとりだと狭い部屋に通されるのかなーと思ったらそんなこともなく、2,3人は入れる大きさの部屋だった。


 

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