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特集


ロマンの木曜日
 
アノ声の人に留守電応答メッセージを吹き込んでもらう

俳協さんのうしろにはドコモ本社ビル
マネージャーの佐藤康則さん
アノ声の人の名刺
会話の声は少し低め。「電話の時は高めにしています」
そーなんですかあー

ドコモ携帯の声、中村さん

ドコモ携帯の声の主、中村啓子さんは俳協という俳優とスタッフが運営する生協組織に所属している。お話を伺うため、千駄ヶ谷にある俳協の事務所にお邪魔した。

偶然にも俳協の背後にはNTTドコモの本社ビルがそびえ立っていた。どーん!

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声のイメージを大切にしたいという中村さん、今回の取材では顔や姿を撮影する事が出来ない。読者の皆様には申し訳ありませんが、いつも聞いているアノ声から中村さんの表情を想像して読み進めていただければ幸いです。

実際にお会いした僕の印象は……、想像とは随分違っていました。ヒントは、ショートヘア−、柔らかい雰囲気、笑顔が大きい、という感じです。

そんな中村さんは、ドコモ携帯の声だけでなくNTT関連の音声ガイドのほとんどを担当されている。
例えば……
「お客様がおかけになった電話番号は、現在使われておりません」とか、「ただいまから午後8時ちょうどをお知らせします」とか、「お問い合わせの番号は…」そして、「留守番電話サービスセンターに接続します」など、今まで何度となく聞いてきたアノ声もアノ声もアノ声も、ぜーんぶ中村さん。

そもそも、どうして中村さんが抜てきされたのか?

「それはね、私の声が音声合成が必要な電話の音声にピッタリとはまったからなんです。ちょうどシンデレラの靴のように」

電話では音声帯域の上限が3.4kHzに設定されていて、それを超える音声はカットされてしまう。逆に言えば、その領域内で発声される事が聞きやすさの条件となる。
選考当時、10数名のナレーターが候補に上がっていた。それぞれのサンプルを試聴した結果、その条件にピッタリとはまったのが中村さんだった。中村さんのアクセントやイントネーションは標準語として完璧で、更に周波数が電話向きだったのだ。

「普段からアクセントには気をつけて生活してます。アクセント辞典を常に持ち歩いて、気になる言葉があったら辞書を引く。これまでに3冊の辞書を使い潰しました」

今まで何気なく聞いていた音声ガイドの影にそんな苦労があったとは……。これからは中村さんの顔を思い浮かべ、心して聞くようにします。

更に驚いた事に、中村さんの声は電話以外でも色々な所で流れている。
羽田モノレール、多摩モノレール、空港のリムジンバスといった交通機関。更に更に、郵便局のATM、東京三菱銀行のATMなどなど。もう、街は中村さんの声で溢れている。

日本で一番有名な声、と言っても過言ではないと思う。そして、そんな有名な声の持ち主に例のお願いだ。

「僕の携帯に、応答メッセージを吹き込んでください」


 

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