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特集


ひらめきの月曜日
 
3世代肉じゃが、しょっぱさ比べ

私は祖母と同居していて、ランダムに食事を作り合っている。実は、祖母の料理は、美味しいがちょっとしょっぱいと思うのだ。

確か実家の母の料理はもっと薄味だった気がするが、どうだったろう。

今回は家庭料理の基本である肉じゃがを祖母、母、私と妹で作りあい、塩分濃度計と糖度系で濃さ数値化、比較してみました。

肉じゃがの味の濃さ、お家騒動勃発。完全に個人的な疑問解決で恐縮ですが、人んちの肉じゃがの奔放ぶりとあわせてご堪能下さい。

(text by 古賀 及子



一家総出の肉じゃが作り

今回の参加者は祖母(84)、母(55)、わたくし(長女)(25)、次女(23)、三女(19)の計5名。

それぞれが日頃作りつけた味の肉じゃがを提出し、その味の濃さを市販品とあわせて数値化、比較していく試みだ。これで祖母の料理がしょっぱいのか否かを浮き彫りにする。

なお、今回、参加者にはとにかく「肉じゃがを作って下さい」とだけ伝えてある。材料や分量は何も言っていない。

それでは早速作っていきましょう。現場は埼玉の実家から、トップバッターは母の肉じゃがです。


エントリーナンバー1
母・古賀陽子(55)
料理歴 主婦歴33年。365日、毎日3食家族の食事の用意をする。
肉じゃがの具 肉(その時にある肉を使う)、ジャガイモ(男爵が好み)、人参、玉ねぎ
味付け 砂糖、本だし、みりん、醤油
ポリシー ジャガイモは皮付きで、多少煮くずれた方が美味しいと思う

母、調理スタート
大きな鉄鍋で大量に作られ行く肉じゃが
母の肉じゃが、できました

料理する分量は自由としたが、母、いきなり大量の肉と人参を炒めはじめた。実家では今、育ち盛りの男子2名をかかえている。勢い、母の料理は何でもとにかく大量なのだった。

肉じゃが作りの概要はというと、ジャガイモは金ダワシで洗って、皮はむかずに芽だけとり、まるのまま別に圧力鍋でふかしておく。別の鍋で玉ねぎは炒めていったん取り出す。その後、肉と人参を炒め、味付けして煮る人参が柔らかくなったところでふかしたジャガイモを投入、あえるという調理方法。

見ていて思い出したのだが、確かに我が家の肉じゃが、玉ねぎを煮ないのが特徴だった。

--あ、今砂糖ってどれぐらい入れた?
「うーあー、適当。大さじ一杯ぐらい?」
--ん? 今入れたのって本だし? どれぐらい入れた?
「パラパラ、ぐらい?」
--この量って何人分想定してるの?
「え?適当。鍋一杯分だね」

みりん、醤油も容器から直に目分量でドバドバ。全体的にかなり適当に作られていく。おお、家庭料理って感じがするぞ。

そして、母が使った肉は牛挽肉であった。今家にある肉を何でも使うというルールらしい。「肉じゃがを作ろう」と思って買い出しをすることがないため、もうずっと肉じゃがの肉は決まっていないという。

そう、確かにわたしンちの肉じゃがって、決まったパターンがなかった!!

続いては、そんな肉じゃがで育った3姉妹の肉じゃがです。


エントリーナンバー2
長女・古賀及子(25)
料理歴 以前一人暮らしをしていた頃、限りなく適当な料理をしていた。最近はあまり作らない
肉じゃがの具 肉(だんぜん豚)、ジャガイモ
味付け 砂糖、酒、醤油
ポリシー ジャガイモは皮付きがいい

料理酒がなかったため、ちょっといい酒利用
長女の肉じゃが、できました

私の肉じゃがはかなり規格外な肉じゃがだ。一人暮らしでそれはそれは適当な料理をしているうち、段々面倒なところが削ぎ落とされ(例えば、玉ねぎは切るとき涙が出るのがめんどくさくてで具からカットされた)、結局具は肉とじゃがいものみ。

その代わりと言っては何だが、ごま油にショウガで香りを立たせる戦法を使う。砂糖、酒、醤油で肉を煮、そこへレンジで柔らかくした皮付きのジャガイモをあえるだけ。
母の料理の影響がふかした皮付きのジャガイモを後で加えるというところに出たものの、改めて作ると何しろ適当だ。できあがった肉じゃがを次女に試食してもらった。

「…これ豚の生姜焼きにふかしたジャガイモ混ぜてるだけだよね」

あ、本当だ。

この料理法で肉じゃがを作って久しいが、今言われてはじめて気が付いた。確かに、砂糖さえ入れなければ、生姜焼き。

自分の数少ない料理のレパートリーの2つが一つに集約されてしまった。そういう次女はどんな肉じゃがをいつも作ってるのさ。



 

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