「それってマンガだろ」という表現がある。ペンキ塗りたてのベンチに座ってアヒャーとなったりするあれだ。
そんなうっかり、現実にはないだろう。マンガの中だけの話だろう。
しかしできれば1回やってみたい。できることならパンを口にくわえた女子高生と曲がり角の出会い頭でぶつかってみたい。くしゃみをしたら天井からたらいが落ちてきてほしい。
話の途中からドリフのコントも混ざりはじめているが、「それってないだろ」というシーンをいくつか再現してみました。
(text by 法師丸)
●検証1:坂道でオレンジころころ
オレンジが顔をのぞかせている紙袋を抱えて歩くということがまずない。さらに転んで落としてしまい、そこが坂道だなんて。
そんな都合のいい話があるだろうか。
マンガだったら親切な人が拾ってくれたりすることもあるだろうが、今回の検証ではそんな人は現れない。
あっという間に小さくなっていくオレンジたち。あわてて追いかける私だが、走りながらもなぜか笑顔だった。わざとやっててもおもしろい。予想以上の楽しさだ。
●検証2:バナナの皮ですべって転ぶ
バナナの皮ですべって転ぶというのもかなり古典的な定番だが、これもやっぱりないだろう。
まず、道端にバナナの皮が落ちてるという状況がない。仕方がないので今回は自分でバナナ食べてるという設定にしてみたが、やはり写真を見るにつけても「ないよなあ」という感じは高まるばかり。
我ながらおかしい。こんな人いない。
ここまででもうマンガだ。あくまで偶然にバナナの皮ですべって転ぶという可能性は相当低そうだが、まずはおいしくバナナを食べた。
シチュエーションとしてはかなりわざとらしいものにならざるを得なかったこの試み。ただし、足を乗せてみるとわかるが、バナナの皮というのは実際にかなりすべる。
もしも人通りの多いところでバナナの皮が落ちていたりしたら、かなり危険だと思う。転んでケガをしかねない。
今回やってみたことで、いたずら半分でも絶対にバナナの皮を道に捨てたりなんかしないという思いが新たに湧いてきた。意外な角度からの収穫だ。