●今度こそ前向きに薬草を知りたい
それほど薬草についての理解は深まらないまま各植物区を回ったわけだが、園内には薬草についての資料館もある。それらしいビンに入れられた標本がずらっと並ぶ。
例えばウワウルシは尿路消毒の効果。尿路を消毒しなければならない状況には陥りたくないが、もしそういうことがあれば効果的に活用したいと思う。
この資料館には植物由来のもの以外の薬も多く収録されている。例えば硫黄には局所刺激の効果があるとのこと。
局所。…局所ってどこだろう。
自分としては硫黄に頼らず、局所は自分で刺激したい。
さらに熱いのは生物由来のものたち。それもサソリ・ムカデ・ミミズなど、一般的にはあまりチャーミングとは言われない生き物たちが多い。唯一キュートとも言えるムササビは、そのものではなく糞だ。
確かにその迫力だけで効き目ありそう。薬が飲む前に、ムカデに頼るくらいだったら自分でなんとかしようと思って元気が出るかもしれない。
標本ビンとは別に、うやうやしく赤い布を敷いた専用ケースに展示されているものもあった。
その表示がこれだ。アザラシとシカというところまではいいが、「使用部位 陰茎および睾丸」の部分にやはり注目してしまう。
陰茎および睾丸。そんな冷静に「および」で結ぶな。男としては静かな怒りを覚えるところでもあるが、そう思いながら何語だかわからないままにはっきり「PENIS」と書いてあるのは読んでしまう。
改めてへろへろになっている標本を見つめる。お前の分までがんばるぞ。心の中でそう思う。
ヒト由来のものもあった。ヒトの胎盤は強精の効果があるらしい。
それにしても標本の胎盤はすっかりかき揚げみたいになっている。確かにかき揚げを食べたら、結構元気は出ると思う。
他にもカマキリのタマゴやヒル、セミやその抜け殻、ヤモリなど、見た目からしてインパクトのあるものがたくさん。見ているだけでも、なんだかわからない元気が出てきそうな気もしてくる。