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特集


ちしきの金曜日
 
ウサギをめぐる平日

ドーン! 筆者のあげた白菜をもぐもぐと食べるカジッタ君のみなさんだ。

「自分、本当は夜行性なんスよ」 「つぶらな瞳が可愛いってよく言われます☆」
「あたいになんかご用かい?」 「ワタクシは高貴な出身でございますのよ」

荒川下流河川事務所の方々が設置した柵だが、中には3匹程度のウサギしかいなかった。

仮設住宅のまわりのいたるところでウサギが跳梁跋扈している。 なんだか動物園のふれあい広場みたいな趣さえ感じさせるが、子ども達はうさぎ相手に駆け回り、大人たちはウサギを前に気が緩んでいるのか、隣にいる知らない人に平気で話しかけたりしていて、非常にピースフルな光景が目の前に広がっている。いったいここはどこなんだっけ? と、そんな不思議な気分になるほどだ。
普段の日常からちょっとだけ外れた、ちかくてとおい場所が、ここに 図らずも出現したといえるだろう。

もちろん1ページ目で竹内さんがおっしゃるとおり、本来はウサギが野放図にはね回っているのは危険なことであるのかもしれない。河原をこういうかたちで占拠するのも、恐らくは違法な行為にあたるのだろう。

しかしそれらを考慮してみても、この場所がなくなってしまうのは 少し寂しい気がする。至るところにウサギがピョコピョコと跳ね、ここにいる人々はみな笑顔でそれを観て、気軽に隣の人とおしゃべりに興ずることができる。しかも、普段なら決して近寄らないであろう仮設住宅の周りでそれが繰り広げられているなんて、なんて素敵なことなんだろう。

そんな素敵な場所を、僕は他にしらない。

竹内さんたちの苦労を思うと、こういうことを書くのは少し申し訳ないような気もするが、なんとかして、この場所を維持していくことはできないのだろうか(もちろん、危険性をなくす必要はあるが)。

でも、そこにあること自体がそもそも違法なんだから、と、そんな声も恐らくはあるだろう。けれど、ここに集まっている人たちの顔をみていると、法律よりも大切なことがあるような気がしてならないのは、僕が間違っているのだろうか。

ウサギを抱くことも可能です。


 

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