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ひらめきの月曜日
 
自分の会話リスニング

ICレコーダーを買った。取材やなんかで会話を記録したりするのに使う、アレだ。買ってしまうと何か録音したくなるものだが、今のところあてがない。むー。

デイリーポータルZではライター大塚さんの企画に“会話リスニング”というのがある。カップルのとか、お祭り会場とか香水売り場とか会話がリアルですごい。

あのリスニング矛先を自分に向けてみるのはどうだろう。何気ない自分の日常会話を録音して、その一字一句を書き起こす。口癖とか分かって面白いかもしれない。

やってみました。書き起こしているうちに、なんだか知らない言語の曲の歌詞カードを作っている気分になってきました。

せっかくなので曲みたいにMP3で配信します。聞いて、歌ってみてくれたら嬉しいです。

(text by 古賀 及子

コスメカウンターで世間話をレコーディング

自分の会話を録音するとなると、誰かと喋らなければいけない。一人の部屋で待っていても誰も喋りかけてくれないので、外へ出てみた。手始めに、お店の方とのやりとりを記録する。

会話がありそうな場所をさがして行ったのはデパートのコスメカウンター。美容院で美容師さんが話しかけてくるごとく、化粧品の試し塗りをしてもらう間に店員さんと世間話になることがよくあるのだ。


レコーディングスタジオはデパート

ここから先、可能であればMP3ファイルをダウンロードしていただき、聞きながら歌詞カードを読むようにお楽しみいただけると幸いです。

MP3を聞きながら読んだら、もう一度、聞かずに歌詞だけで読んでみるとまた違った味わいをお楽しみいただけるかと思います。


タイトル:雪国生まれの店員さん(yukiguni.mp3)
男性の店員さんにファンデーションを塗ってもらっている最中をレコーディングした。花粉症の話から店員さんの雪国育ちぶりに話がシフトしていく展開が聞き所。

(文字色赤:店員さん)(黒:私)

「花粉症ですかあ?」
「あ、なんか、もしかしたら、今年から」「あーーっ」「スタートで、しちゃったかもしれないですううう」
「あっつらいですねえー、えへへへへ」「うーん」
「そー、大変ですねえ」
「えへへへへ」「花粉症って」
「やーえーもー嫌ですねえ、でもー、ねー、風邪だと思ってます。今は、あはは」
「でも、たぶん、たぶん気温差が激しいのでー」「ああー」「くちにっからって(注1)おかしくなるんだとおもうんですけどー」
「あーーそうですよねー」
「さむいですよねー」
「今日とかすごい寒いですよねー」
「ホントに寒いですよね、雪降ったらしいですよね」
「あ、ね、みたいですねー、あ、明け方?」
「原宿とかも」「うん」「ちょっと振ったらしく」
「あ、本当に」
「さっき、あの、友達が言ってたんです」「あれれ」「けどもー」
「へー」「すごいですよねー」「うーん」「三月に入ったってのに」
「ねーえ」
「ないですよね」
「春だっつうのに」
「本当ですよー」「うん」「もう桜が見られると思って」「あー、そうですよねえ」「楽しみにしてたんですけどね」
「そのまえに雪が」
「うふふんー、」
「えへへー、こないだもすごいー」
「あ、ふりましたねえー」
「ふってましたよねえ」
「うんー」
「そう、雪国出身なんで雪は見慣れてるんですけどお」
「お、そうなんですかあ」
「そうなんです」
「うふふ」
「やっぱりいやですよねえ」
「やですねえ、さむいのいやですよね」
「そうそう、ほんとうやですよ」
「うんー」
「寒さからのがれてここまでやってきたのに」
「ぬふっ、東京までながれついてきたのに」
「そーそーそーですよー」
「いつまでこんなにさむいんだろう、ちょっとー」

「うんー」
「でもねー、でも、夏がー、すごいあつくてー」「うん」「慣れるのが大変だったんですけどーもー」
「あっ、あー、そうかもしんない。え、どちらなんですか」
「あー、僕、北海道なんですけどね」
「あー、じゃあーねえ、夏暑いっすもんね。でぶばっ、むしますよねー」
「むしますねー、びっくりしました、サウナかと思って」
「あーあはは、ホントでる(注2)
「外に出ると汗が吹き出るみたいな」「うふふ」「ああ、こうゆうとこだったのかって」
「うーん」
「改めてびっくりしましてー」
「ふん」
「なじませていきまーす」
「はーい」

考察

会話というのもは参加する人々の声が重なりつつ進行してゆくということが書きだしていて分かった。すごく重なる。そして、よどみなく流れているとおもっていた会話、こうして書き出すと随分もどかしい。

「〜〜ですううう」とか「ぬふふ」とか「うふふ」とか、書き言葉だと思っていた言葉を実際に言っているのも意外。

注1:聞き取れなかったが、そのまま書き出すとこんなふうに
注2:「本当でる」ってなんだよ

なお、その後店員さんお勧めのファンデーションを買いました

細かく書き出すために会話は何度と無く聞いた。もう全文覚えそうだ。本当に名曲に思えてくる。「やーえーもー嫌ですねえ、でもー、ねー、風邪だと思ってます。今は、あはは」のあたりがサビか。

さて、店員さんとの会話は、初対面同士、しかも店員と客なだけあって、やや上滑りぎみだ。次はもっと砕けて喋れる相手との会話を見ていくことにしたい。

取材現場を久しぶりに埼玉の実家へ移します。



 

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