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特集


ひらめきの月曜日
 
東京の坂を滑る〜太股にビデオカメラをつけて〜

坂道を下るのが好きだ。
よく自転車で行動する。私の住む東京は坂の多い都市だ。そこをぎゅんぎゅんスピードを上げ下る。気持のいいことこの上ない。

その気分の良さをなんとかウェブ上で伝えられないだろうか。そうだ! 自転車で坂を滑る様子を動画で配信しよう!

そんな思いつきが、こんなことになりました。最後まで見守っていただければ幸いです。

(text by 古賀 及子

坂を滑る撮影、その試行錯誤

今回は、自転車で坂を下る様子をビデオに収める。最終的に撮影は成功したのですが、まずはそこへたどりつくまでの試行錯誤をどうか聞いて下さい。

愛車のノーベル号です

撮影は晴れたある日に行った。平日だったし、ただ単に自転車で坂道を滑るのだから人員はいらないだろうとスタッフは私一人。

坂を自転車で下るという楽しさから、その後の苦労にこのとき私はまだ気付いていない。勇んで、まずは近所の坂道で試してみることにした。

線路脇にある、良坂です

テイク1・ふくらはぎにカメラを取り付ける

映像はできれば足下に近い、低い視点で撮りたいと思っていた。視点が低い方がスピード感が出ると映像関係者に聞いたことがあったし、足下からの映像なんて普段見ることができない。私も見てみたい。


とりあえず、ガムテで固定 こんな低い視点で撮れたらいいな。わくわく

しっかり固定して落ちないようにし、早速滑ってみた。びゅううううううーーー。晴れた青空。風をきってゆく。いいねえ、やっぱり坂はいいっすねえ。

そして、映像チェック! ……あれ?

テイク1のワンシーン

こんなのが延々続く映像


何だコレ。高速で移動するアスファルトの粒々が写ってるだけだ。足下だと、角度がどうしても下に向いてしまうようらしい。もう一度、レンズが上向きになるように取り付けなおしてみたが結果は同じだった。

テイク2・自転車にカメラを取り付ける

仕方がないので低い位置の映像は諦めて自転車のハンドルにカメラをとりつけた。

ハニ一さんをお呼びしたいガムテっぷり

胸の位置の映像が撮れるのでこれはこれで面白いかも。と、思ったのだが、今度はひどくブレてしまった。タイヤの振動を直に受けてしまって映像が乱れまくり。この方法もボツ。

テイク2のワンシーン

ブレブレ、ユレユレ


テイク3・腕にカメラを取り付ける

普段自転車に乗っていても、それほど振動って感じない。自転車が受ける振動は、体が吸収しているのだ。ブレた映像を見て人体に感心しきり。やっぱりカメラは人体にとりつけるのが良いようだ。

カメラを体の一部に


が。腕だとハンドルの振動をモロに受け、やっぱり映像はブレブレに。NG。

テイク4・三脚にカメラを取り付けて、持つ

もしかして、この手の動画の撮影ってシロウトには相当難しいことなんじゃないか。撮影から早1時間半が経過し、ビデオカメラのバッテリーが少なくなり焦ってきた。

クロウトっぽくやるにはどうすればいい…。思い出したのはテレビのバラエティ番組だった。バイクに乗っている人を前方のバイクから撮影するため、カメラマンが脚をつけたカメラを持って操っていた。私も三脚をつけてみよう。


このように、三脚をつけて 腕に固定。カメラは逆さになる形

しかし。この方法もNGだった。左右に大きく揺れてしまう。左右に揺れないように固定するとブレる。なんだ、今日は実験映像でも撮る日か。

うーーーん。やっぱりシロウトには普通に滑る映像を撮るのは無理なのか……。

テイク4のワンシーン

しかもカメラを逆さにしてるので映像も逆さ


困り果て、詳しそうな人に連絡、聞いてみた。それによると、やはり映画の撮影で使うようなレールでも敷かない限り、滑らかな映像を撮るのは難しいらしい。アイディアとして、糸を坂道に張ってカメラを伝わせるか、乳母車に乗せてはどうかと提案してくれた。

なるほど! うーん、でもそれじゃあ私が坂を滑れないじゃんか! カメラだけ滑らせても意味がないのだ。私が滑らないと。変なこだわりを発揮して、この案も却下。

知人「となると、やっぱり足に取付る方法かなあ」
古賀「さっきふくらはぎには付けてみたんだけど…」
知人「いや、ふくらはぎだと振れるから、モモだと思うよ」
古賀「もも?」
知人「うん。太腿」

太股なのか!

かくして、太股アイの誕生となったわけです。
お待たせしております。それでは、太股からの眺めをご覧ください!


 

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