私たちは、日本語に囲まれて暮らしている。さまざまな言葉が日常目につくし、おびただしい種類の言葉に毎日接している。
ところで、読み物以外の「社会的」な日本語、つまり何かの注意書きや表示、説明書などは平易な、無難な日本語で書かれているのが普通だ。
そんな状況に慣れた目で、あらためてある種の日本語を読み返すと、「ぐっ」とくるときがある。
ほんの、ごくわずかな揺れ。妙だからといって雑誌に投稿するほどでもない、でもなんだか放っておけない言葉をほじくりだして、ごくささやかに鑑賞してみたい。声に出して。
(乙幡 啓子) |