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はっけんの水曜日
 
「うどんログ」の人に、うどんナビをしてもらったよ!

「……そういえばこの前、友だちの家で、『うどんログ』の人と桃太郎電鉄をしたよ」
「え、ええー?」
「なんか、香川県を絶対に取るんだ! って頑張ってた」
「へ、へえー」
……とかいう話を知人としたのが、今年に入ってからだろうか。
うどんログ』とは、ひたすらうどんを食べて、それを写真に撮って載せている、人気のブログだ。
私もファンで、時々見ては「今日もうどん食べてるな〜」とか「うわ、ついに自分でうどんを打ち始めた〜!」とか、楽しくながめていた。
その「うどんログ」の人・マツイ氏と、先月とあるイベントで、人を介して偶然会った。
「あっ、桃太郎電鉄で、香川県を頑張って取ろうとしてたらしいですね!」
「え、ええー? なんでそんなこと知ってるんですか?」

……出会いって本当に不思議ですね。

そのとき、ずうずうしくも「今度、美味しいうどん屋さんをナビってくれませんか?」とお願いしてみたら、「いいですよー」とのお返事。まじで!?

そんなわけで今回、サブタイトルは「実録・東京うどんデート」です。

(text by 大塚 幸代

日曜日午前11時、吉祥寺駅の北口集合。
早めについてしまったので、駅前のベッカーズに入ってコーヒーを飲みながら「はやく着いちゃったので、ベッカーズで待ってま〜す」とマツイさんにメール。おお、デートっぽい。
良い天気。落ち合ってバス移動しながら、話をきく。

「そもそも、なんで……うどんなんですか?」
「僕、学生のときにちょっと大きな病気をしたんですよ」
「あら」
「入院してたんですよ、3ケ月。それでずっと点滴で、ごはん食べられなかったんです。
……あのときはすごい凹みましたよー、人生で最低の時期だったなあ。
そのあとも、固形物が食べられなくて……。今も基本的に、肉とか揚げ物は、食べられないんですよ。ちょっとなら大丈夫だけど」
「ひょっとして、それがキッカケですか?」
「そうですねー。うどんを食べて、ああこんなに美味しいものがあったじゃないか! しかも消化にいい! ってことに気がついたんですよね」
「……絶望の果てにうどん、て感じですね」
「いやあ、そんな大袈裟なものじゃなくて、美味しいものが好き、っていうだけなんですけど……」




まず1件目、エン座(上石神井)に到着。(「うどんログ」内のエン座実食記録はコチラ

「……この店で、僕、修行したんですよ」
「え?」
「麺打ちの修行。webの企画で、修行の権利がオークションに出てたんで、それを落としたんです(こんな感じだった模様)」
「へ、へえー」

というわけで、マツイさんはスタッフともお知り合い。「今日は何にしましょか?」とフレンドリーに応対されていた。

「……マツイさん、まずここで食べるんだったら、何がおすすめですかね?」
「うーん、この、季節の糧盛り(肉入り)700円なんかいいと思いますよ」
「カテモリ……って何ですか?」
「冷たい麺を温かいつけ汁に食べるもので、つけ汁にお肉や野菜が入っているんですね……」
「美味しそう。じゃ、それにします!」

マツイさんは、ぶっかけおろし(650円)をチョイス。

これが糧うどん!

麺が美しい。



付け汁には具がたくさん。しいたけ、ネギ、ほうれん草、肉…。



マツイさんのぶっかけうどんも、美味しげ。

 

まず、デジカメで、バシャ、バシャと撮影をかます私たち。

「……マツイさん、うどんの写真って、いつもどうやって撮ってます?」
「あのね、ちょっと離れてズームにして、フラッシュをたくんです。すると、麺が白トビしない」
「おお、さすが、うどん撮りのに慣れた技ですね……。私は食べ物はフラッシュなしで、ブレないように、ヒジの骨で高さを固定して撮ってます。そんで、撮ったやつをレベル補正して、彩度をちょっと上げて……」
「僕、そういうの面倒で、全然やってないですねー」
「ほんとに?」

ちなみに当日、マツイさんの撮影した写真はここ

ずるずるー。

「美味しいー。太くてシコシコしてて。でもなんか、気のせいか、麺が長いですね」
「手打ちって、生地が大きくなっちゃうんで、麺が長くなることが多いんですよ」
「へえ、そうなんですか……知らなかった。
でもあれですよ、マツイさんが最初、麺を打ち出したとき、かなり衝撃だったんですよ。うわ、この人、ついに自分で作りはじめた! なんて」
「そんな衝撃でした?」
「それはアレですよ、音楽評だけ静かに書いてた人が、いきなり曲作って歌い出しちゃったような感じですよ」
「そうかなあ」



「……あ、このお店は、そば湯みたいなの、出してくれるんですね」
「釜湯っていうんですよー。普通は塩からくて飲めないものなんですけど、ここのは美味しいです。僕、釜湯がなくても、残った汁飲むの好きで、濃くても飲んじゃうんですよね…」
「いやでも、ここの汁はうまいですよ」
「汁うまい」
「汁うまいです」

うどんを堪能していると、スタッフの方がやってきて、「これ、大将からです」と、小麦粉の入ったビニール袋を、そっとマツイさんに渡した。
「どうしよう、まさか粉くれるなんて……すげえ嬉しい」と喜ぶマツイ氏。「麦刈り、来ますか?」と訊かれ「行きます!」と答えるマツイ氏。

「麦刈りって……?」
「この店は、地元の小麦を使ってるんですよ、練馬産の。その畑の刈り取りの見学に行くんです」
「へ、へえー!」

東京で、東京の小麦で、美味しいうどんを打っているうどん屋さんがあるなんて……世の中には知らないことがいっぱいある。



汁をもっと飲みたいな……という感じのマツイ氏

 

エン座
11:30〜14:30(土曜日のみ18:00?20:30予約制)
定休日:月曜日・第一火曜日
住所:東京都練馬区石神井台8-22-1 第一サンライフ105
Tel:03-3922-0408

 

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