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はっけんの水曜日
 
クラムチャウダー・シベリア・アタック、音源デビュー!

「わー、毎日、webで見てる人と実際に逢うと、変な感じしますねー。芸能人に会ったみたいな気持ちだー。本物の大塚さんだー」
「そ……そうっすか……?」

3月某日、わたしは戸塚にあるレコーディング・スタジオ「633 Studio」にいた。で、緊張しながら、オーナーである中島さんのいれてくれたコーヒーをすすっていた。

「あのー、楽器とか、そのー、ほんとに……出来ないんですけど」
「大丈夫ですよ! でも大塚さんがギター持ってる写真、ちゃんとコード押さえてるっぽい手つきだったじゃないですか?」


いんちきギタリスト。

「いやあれは、ほんとに……コードがやっとぐらいでして……ていうか、歌も……」
「あれ、バンドとかやってたんじゃないんですか?」
「ええとー……ガレージっていうか、ものすごーーーいローファイな、テクニック要らないやつしかやったことがなくてですね、歌も叫んでるだけ、っていうか……掛け声専門っていうか……はい……」
「いや、ウチにはボーカルの音程を直すソフトありますから大丈夫ですよ! ははは」
「……録音も全部、ここでやってくださる、っていうことですね?」
「もちろん。私と、私のバンドのギタリストで曲、書きますよ。演奏もばっちり。それとも、大塚さんもギター、ちょっとでも弾いてみますか?」
「い、いやあああああ、滅相もないです! ……あ、あとですね、別口で、1人、曲を書いてくれるという方がいまして……」
「じゃあ、その彼らも、ここで録音しましょう!」
「お、おおおおおお。じゃあ、ええと……歌詞を、3人で書きますです、あとwebマスターの林雄司さんと」
「お願いします!」
「……ていうかですね、曲を作って、レコーディングするまでの過程っていうのがですね、その、素人なんで、ほんとに、なーんも、なーーーーーんにも、わっかんないんですよ」
「あ、じゃあ進行表作っておきますよー、流れが分かるように」
「なにからなにまですみません……」
「いやあ、だって面白そうじゃないですか!」

……帰り道の湘南新宿ラインで、パニックになってしまった。
え? まじで?
歌? 歌うの? 
誰が? 
曲? 作るの?
えー?
ええー?


スタジオ内の中島さん。機材バリバリです。

……後日、中島さんが約束通り、進行表を送ってくれた。


曲作り(デモ作成)→作詞、歌メロディ修正

レコーディング→歌の練習、メロディの修正
楽器録り
歌入れ

トラックダウン(ミックスダウンともいう/レコーディングされた、たくさんの楽器のトラックを、2チャンネル、ステレオにまとめること。音質のバランスをとり、エフェクト処理も行う)

マスタリング(トラックダウンが済んだ音源をパソコンに取り込み、調整すること)


……頂いた進行表を見て思った。
わたし、かつて、カルチャー雑誌で、音楽記事とかさんざん作ってたのに、トラックダウンとマスタリングが何を指してるのかも、よく知らなかったよ! 
音楽のこと何も知らないよ!

猛省しながら、古賀&高瀬さんに連絡。

「えー、ほんとにやるんですかあ?」
「ほんとに?」

ほんとです。

「私、歌とか歌えませんよ!」
「私も」

……ええとー。

「ていうか、何やればいいんですか?」
「うん、何すればいいの?」

……何すればいいのかなあ……。

めっちゃくちゃ不安なまま、新宿・ランザンにて、全スタッフの顔合わせが行われることになった。

作曲してくださるという三人の方、中島さん、平吉さん、秋山さん。
そしてクラムチャウダー・シベリア・アタックの私たち。

事前に頂いたデモを聞いて、演奏する曲は決めていた。

「……あのですねえ、とりあえず、1こだけアイデアあるんです」
「なんですか?」
「うーんと、歌詞にブログの名前をばんばん入れるんです。そしたら、歌ったブログの人が、リンクしてくれるかもしんないじゃないですか!」
「あ、大塚さん、それいいですねえ」
「いいでしょー」

……でも、他のことは何も決めてなかった。
ていうか、考えようがなかった。

「歌、誰が歌うんですか?」
「え、だから3人で……」
「いや、音程分からないと、演奏のコード変えたりしなきゃいけないから」
「そうか、そりゃそうですね」
「……ていうか、やっぱりメインボーカルがいないと…」

「私、歌下手です」
「私もです」
高瀬さんと古賀さんがそう言って、きっとわたしを見た。
(「責任とってね」)
と、目が言っていた。

変な汗が出て、顔がひきつった。

「……あ、あああああああ、じゃあ私が歌います! うた、うたたたたたたた歌います!」

うああああ。

「じゃあ歌詞は……」
「ええと、ネタ出しだけみんなでして、わわわわ、私がまとめます! す!」
「じゃ、そういうことで。あ、ボーカルのサンプル欲しいので、カラオケとかで録音して送ってください。3人とも」
「う………うぐ……はい」

後日、クラムチャウダー・シベリア・アタックはカラオケ店、新宿パセラに集合。
高瀬さんは小泉今日子、古賀さんはUA、大塚はトミー・ヘヴンリーを熱唱して録音。


みんなライターなのに。


 

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