用意するもの

材料は型取り材と石膏。型取り材は東急ハンズで売っていた。今回、耳を作るにあたって店員さんに相談した。

「耳、つくりたいんですが」
「耳、ですか！少々お待ちください」

型取りに詳しい店員さんが呼ばれ、耳の型取りであることを説明すると熱く説明し始めた。要約すると

・人体につかえるのはこの「かたとって」のみ
・しかしこれで作る型は水分を含む
・となると、流し込み材は石膏となる
・耳は逆エッジがあって形が複雑なので、型を取るときに「かたとって」を耳にこすりつけるようにしてくれ

耳という対象は彼の心（型取り魂？）に火をつけたようで生き生きと語ってくれた。

不安に思う耳コピーであったが、はやくも仲間がいてほっとする。

耳栓を忘れずに

耳のまわりにボール紙で囲いを作り、そこに型取り材を流し込む。型取り材は粉末だが、水に溶かして使う。

どぼどぼどぼ。

いままで味わったことのない感触だ。ものすごく不安。あ、そうそう、耳栓を忘れずに。耳栓をしないと耳の奥のうずまき管の型まで取れて先っちょに脳みそがつきかけない。

耳栓をしてゲル状のものでふさがれいてるので片耳が聞こえない。自分の息を吸う音だけが頭の中に響く。

ごー、ごー、ごごー、ピー

ときどき鼻が詰まって鼻笛になっているのもよく聞こえる。ぼんやりしていたらよだれが垂れていた。耳の型を取るとよだれが垂れるのかもしれない。か、僕がだらしないか。

あー、借りてたビデオ返さなきゃなー、などと思いつつ20分。型取り材が固まった。

ぷるん。

ひんやりと柔らかいゼリー状の型ができた。ついでに耳栓もとれた。果たしてこれで耳になっているのだろうか。外から見るとやや心許ない。