地元の話題は貴重な情報

石原：過去の入選作品で印象深かったものを挙げましょうか。
林　：地元のどうでもいい話題を拾ってるのが好きです。「これはメニューではない」や「デジタルとアナログの境界線」。
石原：たしかにどれもニュースにするほどではない、ギリギリのラインですね。
林　：「変わった店」っていうジャンルはけっこう飽和状態だと思うんですよ。名古屋の「マウンテン」みたいに全国的に有名になってたり。でもこれらは、おそらくメディア初登場のスポットばかりですから。
石原：なるほど。
林　：「小学生の川柳」もそうですよね。ここを通る人じゃないと知り得ない。
石原：あ、これは僕、モニターに向かって吹き出しました。独特の叙情性を持った作品としては「上村君に会いに行ったら下村君もいた」が印象に残ってます。
林　：前半は写真投稿もわりと多かったですね。
石原：そうですね。「やっぱり京都の鴨川はすごかった！」や「JISも確認済み？」あたりは雰囲気があって好きです。

電話1本で作品の幅が広がる

林　：「新感覚コーラに出会う」とかは電話取材してますね。
石原：やっぱりこういう風に対象にぶつかってほしいです。「どうなんだろう」で終わってる投稿がけっこう多い。
林　：これの「乳酸菌と炭酸を合わせてしまうと、乳酸菌が死んでしまうんです」とかは、いい話だと思いました。
石原：この人は電話のやりとりのまとめかたがプロっぽいですね。「……ええ。これ、言っちゃってもいいのかな？」というくだりは、リアルで面白い。
林　：「森永ダースは12個（＝1ダース）ではなくなっていた」もメーカーに電話して聞いてます。
石原：「押しボタン信号を連打すると早くなるのか？」もメールで問い合わせてますよ。
林　：よく返事をくれましたよね。
石原：ホントそう思います。
林　：早くなるわけないじゃないですか。
石原：いや、「もしかしたら…」っていうのが大事なんで。