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特集


ちしきの金曜日
 
献血のゆくえ

都心で採血した血液はここに集められる

次の目的地は東京都赤十字血液センター

献血が最初に運ばれてくる地点のひとつ、渋谷区広尾の東京都赤十字血液センターにやってきた。

ここでは、採血した血液の血液型や病気の有無を調べる検査をしたり、 その後の保管や病院への供給などをおこなっているらしい。

いろいろな病院から連絡を受けて必要な量の血液を届ける、という意味で昔は本当に「血液銀行」という名前だったそう。

というわけで、実際にセンターの中を見学させていただいた。

 

この機械で血液型を判別する
ウィルスなどの病原体の有無も検査する

最初に血液を検査する

センターにやってきた血液は、最初にいろいろな検査を受けることになる。

まず調べるのは、血液型。

よく知っているABO血液型や、たまに聞くRh血液型だけでなく、聞いたことのないような細かい血液型も判定することができるらしい。

 

そして次に、エイズなどのウィルスの検査をおこなう。

もしも献血の中に梅毒などの菌やエイズなどのウィルスが含まれていた場合、それをそのまま患者さんに輸血してしまったとしたら、とても大変なことになる。

だから、ここでは機械と人の手を使い、いろいろな項目にわたって血液の安全性をテストして、検査をパスした血液だけが実際に使われることになっている。

 

赤血球は冷蔵室で保管する
Rhマイナスの分はさすがにこれしかない
血漿は冷凍庫で保管

その後しばらく保管する

検査を終えた血液は、大きな冷蔵室や冷蔵庫の中に何日か保管される。

血液センターでは、一日に数回、都内の病院に定期的に血液をとどけるのに加えて、病院などからの要請で、臨時に血液をとどけることもある。

センター内に保管されている血液は、そういうときのためにいわば出番を待っているわけだけど、残念ながらそう長い間待っていることはできないらしい。

たとえば赤血球は採血後21日間でもう使えなくなってしまうし、今回ぼくが献血をした血小板はわずか3日間で有効期間をすぎてしまう。だから、定常的に献血がおこなわれることがどうしても必要になる。


5月から始まった変異型クロイツフェルトヤコブ病という病気への対策の影響で、ヨーロッパの特定の国に特定の期間滞在した人からの献血は、見合わせるようになった。

その影響で一時期は献血の量がぐっと減ってしまい、この冷蔵室でも、左上の写真の7段ある棚のうちの2段分くらいしか埋まらない状態だったらしい。


その後、広く献血のキャンペーンをおこなった結果、しだいに献血量が増えてきたのだけど、今度は必要な量以上に集まってしまう可能性があって、そういうばあい、有効期間を過ぎたものは残念ながら廃棄するしかない。

だから大切なのは、


「一時的にウワーッと盛り上がることよりも、ダラーッとコンスタントに献血が確保されることなのよね。」(血液センター供給課の方)

ということになるらしい。

 

19時25分羽田発岡山行きの飛行機で運ぶ
献血運搬車は緊急走行もできる

出番がきたら病院へ

地方でRhマイナスなどのまれな血液が緊急に大量に必要になった場合、東京などの大きな血液センターに要請をして、車や飛行機で血液をとどけてもらうことがあるとのこと。

この日も、夜までに岡山に運ばなければいけない血液が準備されていた。

飛行機の出発時刻の30分くらい前には空港に運んでおく必要があるらしい。

 

とはいえ、たいていの場合、血液は献血運搬車で都内の病院へ運ばれてゆくことになる。

ということで、運搬車の後を追ってぼくも病院へ行ってみることにする。


 

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