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特集


ちしきの金曜日
 
まちの音階をしらべる

何かとお世話になる上野動物園です

次は動物の鳴き声を集めてみよう

というわけでやってきたのは恩賜上野動物園。

デイリーポータルZでは、これまでにも上野動物園で取材をおこなった記事が多数ある(ハシビロコウモノレール擬音楽器二重の動物などなど)。

東急ハンズが、デイリーポータルZライターの工作に関する駆け込み寺とするなら、上野動物園は、動物についての駆け込み寺といえるのかもしれない。

 

動物相談所でよく鳴く動物を教えてもらう

まずは園内にある動物相談所で、よく鳴く動物に関して教えてもらうことにする。白髪のおじいさんのような職員の方が、

「よく鳴く動物かあ・・」

といいながら、ニコニコと、いくつかの動物の名前を挙げてくださった。考えながらも、ほんとうに楽しそうにしていらっしゃるようすが笑顔で分かる。

教えていただいた動物は、テナガザル、アシカ(エサの時間に)、ライオン(たまに)、ゾウ(たまに)など。この順番に見ていくことにする。

なんだか今日のぼくは手順をふんでいるぞ。いい感じだ。

 

テナガザル。まったく鳴かず。

しかし鳴かず

ところが、最初に訪れたテナガザルがまったく鳴かない。

こういう自然を相手にした取材では、ひたすら待つことが大切なのかもしれないと思い、そのまま20分ほどねばってみた。しかし、やはりまったく鳴く気配をみせない。

内心あせりながらも、動物はそう頻繁に鳴くものじゃないのかもしれないと思い直す。ひとまず他をみていくことにしよう。


他の動物もまったく鳴いてくれない

教えてもらったアシカ、ライオン、ゾウなどをひととおり見て回る。途中で他の動物のようすも見てみたけれど、困ったことに、どの動物もまったく鳴いてくれない。

やっぱり、ひとつの動物の前でもっと粘ることが必要なのだろうか。


ゾウ。パオンとも言わず。
ゴリラ。やる気なし。
橋夫さんことハシビロコウ。鳴くどころか動かず。
ヒトのつがい。鳴かず。
別のヒトのつがい。こちらも鳴かず。

 

ようやく鳴く動物を発見

園内を一巡したところで、アシカのエサの時間が近くなってきた。ここはいろいろな動物をまわるのをあきらめて、アシカに集中する作戦に変えてみる。

飼育係のお姉さんによるエサやりの時間が始まった。お姉さんの説明によると、大人にたいするエサの時間のあとに、お母さんのおっぱいを欲しがって、アシカの赤ちゃんが鳴くかもしれないとのこと。

エサの時間が終わってしばらく待っていると、果たして鳴きはじめた!

・・お父さんが。

 

> きいてみる <
(ステレオ:49KB)

アシカのお父さんがよく鳴く

お父さんはいったい何を訴えているのだろう。おっぱいが恋しいのだとすると、共感できる部分もなくはない。

とにかくお父さんは1分以上にわたって鳴き続けた。

この日初めて録音できた動物の貴重な鳴き声を、川島さんに聞いていただいた。

(左の「きいてみる」をクリックしてお聞き下さい)


―(楽譜を覗きこみながら)休符をはさんで三連符なんですね
「そうそう、ワルツなんですよ」

―アシカのワルツだ
「アシカのワルツです」

というわけで、その楽譜がこちら。

本当は後半にいくにしたがって音程が微妙にさがっているそうなので、演奏する際はそのあたりに注意が必要だ。


作品No.5「アシカ」

 

 

 

> きいてみる <
(ステレオ:100KB)

ヒトの赤ちゃんもよく鳴く

アシカの池のすぐ前で、女の子の赤ちゃんが大きな声で泣いていた。

女の子には失礼だけれども、よく考えるとこれも動物の鳴き声には間違いない。

というわけで、あわせて川島さんに解析をしていただいた。

(左の「きいてみる」をクリックしてお聞き下さい)


「これは・・、最初はシとシ♭のあいだ、だんだん下がってラとラ♭のあいだくらいで・・」
―なるほど

「で、吸ってファだと思う」
―吸ってファ?

(ここについては、以下の画像が分かりやすい。 赤ちゃんが一息分の息を吐ききってから最後に息を吸うのだけど、その部分で「ファ」の音が鳴っている。)

赤ちゃんの泣き声の一息分の波形。
右端の十字のところが「吸ってファ」。

以上のような考察を経て完成した楽譜は次のとおり。
息を吸うところで、ちゃんとブレス記号も入っている。


作品No.6「赤ちゃん」

 

> きいてみる <
(ステレオ:30KB)

犯人のカラスは高らかに鳴く

よく見ると、赤ちゃんのとなりで、カラスがテーブルの上のポテトフライを狙っていた。おそらくこのカラスが怖くて、女の子は泣いていたのだろう。

ポテトフライ奪取に成功し、満足したカラスは高らかに鳴く。そして川島さんはその声をたんたんと楽譜化。

(左の「きいてみる」をクリックしてお聞き下さい)


―(書き途中の楽譜をみながら)ラァ、ラァくらいなんですね
「(書きながら)そうそうそう・・」

―ポルタメント(滑らかに音程が変化する)で下がっていくと思うんですが、1オクターブ下のラくらいまでいってる感じですか?
「いや、いかないですね。ラとソの間を、アァ、アァっていってる感じ・・」

―あ、そんなもんですか。意外と狭いんですね。
「意外と狭い。」

このようにして出来上がった楽譜はこちら。
カラスの音域は意外とせまいというミニ知識を手に入れることができた。


作品No.7「カラス」

 

才能、かげりを知らず

というわけで、何であろうと、音程感のある音(ノイズとか、打撃音のようなものには音程感がない)であれば、問題なく楽譜にすることができるようだ。

その才能には驚くばかりだけど、ここで川島さんにはいったんお休みいただいて、次のページでは、簡単な絶対音感クイズをやってみることにしよう。


 

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