暑い。何度でも言わせてもらう。暑い。
太陽が「ジリジリ…」と音を立てているかのようなこの季節、人は日焼けを気にする。紫外線の害について取り沙汰されている昨今、その傾向は年々強くなる一方だ。
それでも容赦なく照りつける太陽。なんだか「エネルギーとしてもったいない」と思ってしまうのは、貧乏性が過ぎるだろうか。
そこで「太陽光を何かに利用できないだろうか」との思いから、あれこれ焼いてみました(肌以外)。
(高瀬 克子)
クラクラします
この日、東京の予想最高気温は35℃。ちょっと日なたを歩いただけで汗がダラダラと流れ「ハァハァ」と呼吸が浅くなる。まるで犬だ。
分別ある大人なら「一歩も外に出たくない」と思うであろう、そんな夏のある日。ご存知、多摩川の河原へやって来た。
「さすがにバーベキューの聖地と言えども、この暑さでは人が少ないんじゃないか」と思っていたが、バーベキュー好きに暑さは関係ないようだ。
ただ、今回の私の試みは、火気を使用しない。よって人口密度の高い川崎側ではなく、人もまばらな世田谷側に陣取ることが可能だ。誰かに「なにやってんですか?」と尋ねられたら、答えに窮することをするだけに、大変ありがたい。
さっそくシートを敷いて自分の陣地を確保し、ふと、持参した温度計に目をやると、赤い目盛りが40℃のラインを軽々と越えていた。
「やばい、やばいって」と頭のどこかで声がする。本気で帰ろうかと思ったが、そうも言っていられない。対岸は、この暑さのなか火を使っているのだ。負けるわけにはいかない。(いや、負けてもいい)
バーベキューの若者が鳴らしているらしいレゲエ調の曲が、風に乗って「ズンッチャッカ、ズンッチャッカ」と聞こえてくる。ああ、なんて平和なんだろう…。時刻は午後1時。
…それにしても、暑い。
あまり景色が平和すぎて、一瞬「なにしに来たんだっけ?」と目的を見失いそうになる。
…そうだ、太陽光で、いろいろ焼こうと思って来たんだ。太陽も「協力するよ」と言わんばかりにビカビカだ。ありがたいと思わねば。
ガサガサと材料を取り出し、さっそく準備に取りかかった。