ヒマをつぶします
きっと時間を持て余すだろうことは、事前に予測がついた。そこで用意したのが、黒ゴマと虫メガネ。
…賢い読者の皆さんは、私がこれからやろうとしていることが、既にお分かりいただけるだろう。
ああ、楽しい。「どうしてこんなに楽しいんだろう」と思うほどに、ゴマに光を当て続けた。ゴマからは面白いほど簡単に煙が発せられ、皮が爆ぜたゴマは、そのまま食べる。当たり前だが大変に香ばしい。
ヒマが潰せたうえに口寂しくない。素晴らしい時間の使い方だと得意になっていたが、ハタと気が付いた。もしも私が虫メガネで一心不乱に何かを焼いている大人を見つけたとしたら、絶対に傍には近寄らないだろう。
虫メガネを仕舞った。
焼けたかどうか、見てみよう
河原に座ったまま3時間が経過。時刻は午後4時。まだ日は十分に高いが、私の体力が持たない。ああ、早く涼しい所に避難したい。
というわけで、放置していた物を回収することにした。まずは、なめした皮から見てみよう。
本当は「牛も日焼けするのか」を知りたかったのだが、そんなこと、どうやって調べればいいのか見当もつかない。
一度、うっかり頭皮を日焼けしてしまい、しばらく頭の皮がむけ続けたことがある。それを思えば、毛にまみれた動物だって日に焼けるのだろう。考えてみたら、本や看板でさえ日に焼けるのだ。
この実験では「皮が日焼け止めクリームの色に染まっただけ」という可能性もなくはないが、今は「牛も日焼けする」という結論を積極的に採用したい。
さて、他はどうなっただろうか。