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ちしきの金曜日
 
「給水塔」を鑑賞する

かつての団地の象徴、カモマークが墨痕鮮やか。全体の造形に何ら不穏な気配は感じられないが…


さて、あとソリッドタイプでご紹介せねばならないのがこのパターン。上は一見、もっともベーシックなソリッド作品に見えるが、裏面がたいへんなことになっている。

 

これが裏。どういう狼藉か。


数ある給水塔マニアのサイトをざっと調べたが、この給水塔について言及したものはなかった。みなさんご存じないのか、触れたくないのか。いずれにせよこの作品世界をどう咀嚼するかが、今後の給水塔マニア界の発展を占う重要な鍵となるだろう。ぼくは好きです。

 

横から見るとこう。一粒で二度おいしい。

 

■おちょこタイプ


おちょこタイプの典型。上部のグリーンのストライプに給水塔デザイナーのこだわりを感じる。


さて、団地にある給水塔に多いもうひとつの形状がこの「おちょこタイプ」だ。名前は今ぼくが付けたんですけど。

給水塔マニアの間でもきっと根強い人気を誇るこのおちょこタイプ。機能を持った設備でこの造形の建造物というのは珍しいのではないだろうか。まるで純粋な彫刻かモニュメントのようだ。言い過ぎか。

上部に水が貯められていることを彷彿とさせつつも、給水塔然とした佇まいから一段抽象度を高めたその造形は、団地そのものの造形と絶妙のコントラストを醸し出している。流線型はソリッドタイプと対照的で、いわばリキッドタイプと言っても良いだろう。ファンデーションか。

 

 

おちょこタイプの発展形2つ。団地でオリンピックが開かれるのなら、さしずめ聖火台になる器だろう。


ソリッドタイプと同様、おちょこタイプもまた発展形が見られる。上の2つはその例。同じ団地内にある2つの給水塔だが、微妙にその表情が変えてある。上部のディテールの処理といい、地味なツートンカラーといい、トレビアン。

下のものはすでにおちょこタイプとは言えないようなスリム加減だが、どう分類して良いものか分からないのでそこらへんはご容赦願いたい。すまん。

 

■巨大物件


マニアが多い巨大配水塔。うちの近所。


実は、多くの給水塔マニアに人気なのは、これまで紹介してきた団地などにある地味な給水塔ではなく、地方自治体の水道局が管理する浄水場や配水場にある巨大な給水塔・配水塔である。

 

昭和初期に建造されたアールデコ調の給水塔。こういうのは放っておいても人気がある。


たとえば上のもののように、給水塔とは思えないラグジュアリーな物件はいまでもいくつか現役で稼働しており、「野方給水塔」「駒沢給水所」など給水塔を語る上では押さえておくべき定番というものが存在する。小説や映画などにもよく登場し、マニアのみならず人気が高い。

しかし、団地マニアであっても同潤会アパートに興味がないのと同じ理由で、ぼくにはこういう物件に興味がない。ぼくはもっと地味でどこにでもありそうなものにグッとくる性癖をもっているので、これらの巨大な物件はパスしたい。クラス一番の美人で巨大な物件を持った子より、どこにでもいそうな地味な子にグッとくる、と言えば分かるだろうか。よけい分かりませんか。

それにしてもこのデザイン。たぶん当時の水道事業は一大花形産業だったのだろう。つまり、当時の六本木ヒルズみたいなものなんだと思う。



 

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