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ちしきの金曜日
 
ただ沼だけを見つめていたい

 湖や池と似た意味であるはずなのに、それらとは一線を画す語感をもつ地形、それが沼だ。

 豊かな自然に囲まれて観光地化している湖もあるだろう。古風な趣のある美しい池というのもあるだろう。それがどうだ、沼の場合は。

 水とともに陰影をもたたえる沼。デートには向いてないが、大人がひとりひっそりと見に行くならば池でも湖でもなく沼がベストだ。

 無理のある決め付けに自信がないまま、沼の魅力を広めるべく沼ばっかり見てきました。

(text by 小野 法師丸

●そもそも沼ってなんだろう

 類似した2つを総じた「湖沼」という言葉もあるくらい、湖と沼は似ている。そもそもその違いはなんなのだろうかと辞書をあたってみたところ、5メートル以上の深さがあるものを湖、それ以下の深さのものを沼と呼ぶらしい。そうだったのか。

 ただ、それと同時に湖と沼との区別は明確ではない、とも書いてある。個人的にも別に深さでそれを沼だと判断したくはない。

 では何が基準なのか。今回は「沼っぽさ」でそれを区別したい。


沼じゃない(こちらの画像を利用しました)

 わけのわからないことを言ってしまったなと思ったときは、実例を示す方が理解を得られるだろう。対比することで沼っぽさなるものがわかりやすく見えてくると思う。

 

●名もなき沼たちいろいろ

 しっかり「○○沼」と名づけられている沼もあるが、個々の「これは沼だな」という判断にゆだねられている名もなき沼というのがある。都市部では見かけないだろうが、もう街とは言えないなというところにまで足を伸ばせば意外とあるものだと思う。

ザ・沼
刺さってる棒で沼度アップ

 車を運転中に見かけた沼。大きさ、水のにごり具合など、沼として模範的な例と言えると思う。ちょうどよい感じの角度で刺さっている棒も、沼っぽさに拍車をかける。

黒く点々と動くものが

 水面にちろちろと動くものをよく見ると、かなり大量のおたまじゃくしだ。きれいな水鳥といった生き物は沼的にはアウトだが、黒い謎の生物にも見えるおたまじゃくしは沼に映える。

 続いての沼、

これは沼か?

 こうしてバックの木々も入れて見るとあまり沼という感じがしないだろう。スケールを大きく見てしまうと、沼度は損なわれる。しかし、

やっぱりきみは沼だよ

 より水際に寄って見るとやはり沼だ。地元PTAが立てた遊ぶことを禁じる看板も、沼っぽさの向上に一役買っている。確かにPTAとしては沼で遊ぶことは推奨できないだろう。それでこそ沼だ。

うん、沼かな
うん、沼だね

 こちらはまたストロングスタイルのベーシックな沼。水の色も申し分なし、右の写真奥、水辺に生えている植物の斜めっぷりにも沼を感じる。

沼だっておしゃれしたい


 この沼で特徴的なのは水面に浮いている水草だ。鮮やかな緑は沼がもつ陰のにおいとは相反する要素だが、一筋の明るさが差す沼というのもまた趣深い。

 次のページでも沼でぐいぐい行きます。



 

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