街角は通りすぎるもの。
駅から会社へ。現在地から目的地へ。赤信号など、移動できない理由がないかぎり、人はどこかに無為に立ち止まっていたりはしない。
でも、たまには立ち止まって、同じところから街角をただずーっと眺めてみるのも面白いんじゃないかと思った。
(text by 三土たつお)
ようするに一日中ボーっとしてるわけです
というわけで、街の一角をただひたすら眺めてみることにしたい。時間は24時間。おはようからおやすみまで、一日の変化を見つめてみるのだ。
なんというヒマな企画。
場所はどこでもいいのだけど、ふだんの通勤でよく通る新宿駅西口の交差点を選んでみた。
そして、上の写真が交差点のお昼の風景。
「おはようからおやすみまで」というタイトルのはずが、おはようを通り越していきなり「こんにちは」というべき時間になっている。
いきなり寝坊しました。
タバコをめぐる攻防
知らなかったのだけど、いまでは新宿区でも路上での喫煙が禁止されているらしい。
交差点の角に、それを啓蒙する係の人が立っていた。
路上喫煙禁止を呼びかけている
→背中を拡大
お話を聞いてみると、
「自分たちがいる間はみんなも吸わないんですけどね・・」とのこと。
眺めていると確かにそのとおりで、係の方が別の場所に移動すると、ごくたまにではあるけれど、ふつうにタバコを吸っている人を見かけるのだった。
「しゅぼっ」
「んー?」
がんばれホットペッパー
別の場所では、道行く人に「ホットペッパー」という飲食店等の情報誌を配っている女性がいた。
一生懸命に声をかけるのだけど、ほとんどの人は受け取ってくれないようだ。
しばらくすると、10人めくらいに声をかけた男性が受け取ってくれた。
「受け取ってくれた」という書き方にも表れているとおり、この時はわがことのように嬉しかった。
ふだんは自分でも受け取らないくせに。
ただし渡すべき冊数はこんなにある。先は長い。
ちなみに、信号待ちをしている人々に声をかけた場合、最初のひとりが受け取ると他の人も次々に受け取ってくれる傾向があるようだ。
だれかがヤラセで最初のひとつを受け取ればいいんじゃないか?