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特集


ひらめきの月曜日
 
オノマトペであそぼう

ガッシャーン、ワーワー、ベチャッ、ヒリヒリ、イチャイチャ。擬音語や擬態語、いわゆるオノマトペである。日本語にはこの手のことばがすごく多いんだそうだ。

「擬音・擬態語辞典」というのを見つけた。オノマトペがぎゅうぎゅう(あ、これもオノマトペだ)詰まっていてすごい。例えば泣き声のエーンとワーンの微妙な用法の違いも分かる。

今日はこの辞典を手にずっぽりとオノマトペの世界を堪能したい。

グーグーとグースカの違いや、パクパクとムシャムシャの違いが今、明らかに!

(text by 古賀及子

「擬音・擬態語辞典」とは

そういったわけで、今日の特集の要ともいえる辞典をご紹介しよう。講談社刊 山口仲美 編「擬音・擬態語辞典」である。

すでに所々ふせんでチェックしてます

古今東西、日本語で出版された小説やマンガなどに使われたオノマトペを抽出、研究し、そのオノマトペがどのような状況下で使われているかを分析、「あ」〜「ん」まで五十音順に掲載している。

日頃自分が適当に使っているオノマトペが、小説などの文献でどのように使われきたかが分かるのだ。

“がぶり”と“ぱくり”の違い

例えば、何かをほおばるときのオノマトペ“がぶり”と“ぱくり”。なにげなく使い分けているが、その使い分け方を言葉で説明しようとすると難しい。

それがこの辞典を見ると、もうスッキリするぐらい簡潔に違いが説明してある。

ここに駄菓子のチョコケーキがある。

2枚入り税別50円

そして、それを食べるとしよう。

あーん

ここで例の辞典の登場だ。辞典によると、“ぱくり”と“がぶり”は以下のように違う。



がぶり”は大口を開けて一息に噛みつき物に強く歯を食い込ませるときなどに良く用いられる。

それに対してぱくり”は大きく口を開けて一口で食べてしまう様子を表すことが多いと出ていた。

普通の言葉とは違い、フィーリングや使い手の勝手で自由に意味が変わってしまうのがオノマトペであり、辞典にのっている使用方はあくまで過去の使用例を解説しているものだ。

が、改めて言葉で説明されると妙な説得力がある。楽しくてもう夢中で辞典を読み進めていったのだった。

寝ている人のオノマトペ

さきほどの“がぶり”や“ぱくり”のように、状態をそれらしい音に写し取った言葉を擬態語という。

それとは別に、物音や声を言葉に移し換えた擬声語というのがある。なんだか国語の授業みたいで懐かしいが、この擬声語の詳しい用法も出ていた。

たとえば、いびきの擬声語。



くーくー”は睡眠時の鼻息の音。
ぐーぐー”は普通のいびき。
ぐーすか”はいびきと寝息を交互に立てる音。

知らないところでこんなふうに定義されていたとは。明日から寝ている人を見たら即座に的確にその眠りっぷりを言い表せるぜ。

“すってん”と“すってんころり”の違い

昔ながらのオノマトペである“すってん”なんて、日頃あまり使わないような語も律儀に解説してある。



すってん”ははずみをつけて、勢いよく転ぶ様子。
すってんころり”は転倒後、転がるときに使う
らしい。
さらに畳みかけて、すってんころりんまでいくのは転倒の勢いが強く、そのまま一回転しそうな感じ

これ、江戸時代から使われている言葉なんだそうだ。

さらに

“すってん”は“すってん”でも“すってんてん”となるとまるで意味が違う。

すってんてん”は金や物が全くなくなる様子、である。博打やなんかで使われる「擦る」が変化してできた語だそうだ。転んで一回転するのと、2文字違うだけでここまで意味が違う。やばい。すごい。

そうして考えてみると、“ぎゅっ”とか“きゅん”なんかも似ているのに随分意味が違う。調べてみた。


強く締めたり押しつけたりする様子

切なさやトキメキを表す

強い力で勢いよく引っ張られる様子

突然思いかけず驚いたりおびえたりする様子

役者さんにでも頼めばよかったものを、写真のモデルをライター古賀自身が行っておりまして至らぬところも多いわけだが、どうでしょう、オノマトペの世界にだんだん引き込まれてきませんか。

それでは、もうちょい突っ込んだ遊びをやってみようじゃないですか。

食べる人達のオノマトペ

“ぱくぱく”や“もぐもぐ”など食べる様子を表す擬態語は多い。

では、下の写真で誰の食べ方が“ぱくぱく”で“もぐもぐ”か、分類できるだろうか。

スーパーのフードコートにて

やってみましょう!


 

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