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特集


フェティッシュの火曜日
 
ゴルフのあのでかいキーを持って


キー、もてあまし始める

ひととおりのことをやり遂げたら疲れました。喫茶店に入ります。キー持って。


「優勝してでかいキーをもらいました。カフェラテください」「かしこまりました」

小腹もすいたので、パニーニもいただこう。するとカフェラテだけ出てきた。パニーニはまた少々待つようだ。では席を取っとこう。キーで。

主人とパニーニを待つ、でかいキー。
今日の大会を回顧しながらブレイクするひととき・・・。「あのショットは会心の出来だったな」

それにしてもなんだな。せっかくこんな華やかなものを持っているというのに、街の反応はいまいちだ。よくわからない。「あの人、車が副賞だったのよ!」とか「トーナメントを勝ち抜いたか・・・」とか、もっとひそひそ噂しててもいいのではないか。

せっかくのでかいキー、もっと十分に活用しなければ。そう思うや、猛然と席を立ち、また街へと出た。キーをぶらぶらさせながら。


誰も気づかないと、ゴルファー悲しい。

見て!ゴルファーを見て!
見て!カップルの男性のほうは気づいたような。

どうも、道行く人からは総じて目をそらされるようである。見ないようにしているみたいである。ゴルファー悲しい。いいのだ、私だけが幸せな気分なら。もっといろんなことをしてやる。


開くかな?
開くかな?
日暮れてゴルファー&でかいキー。
電車通過のゴルファー&でかいキー。

見えないギャラリーに向けて精一杯の笑顔で応える。優勝おめでとう私!来年もツアーがんばるぞー!ウォー!


(マウスオーバーで走り去るゴルファー)

・・・喜びをどう表現していいかわからないまま、やみくもに走り去っていってしまいました。このまま来年へとダッシュ。
来年もゴールのことはあまり考えずに駆け抜けていきますのでよろしくお願い申し上げます。

いつも不思議に思うのだが、何勝もしているゴルファーは、今までに何台も車をもらっているはずである。余った車はどうしているのだろうか。
そして、あの「でかいキー」。それも一緒にもらうんだろうか。それとも楽屋裏で返すんだろうか。

それはさておき、でかいキーを手にしてみたわけだが、だからといって車が付いてくるわけではもちろんないので、今こうして写真を見返してみると、心にぽっかりと鍵穴があいて風が吹き抜けるようである。


 

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