デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集


土曜ワイド工場

 
高架下の風景を鑑賞する

■橋のたもとにあるものたち

話を高架下から離れて、今回気がついたことを書いてみる。お堀にかかる橋のそばによくあるものについてだ。


橋のたもとに、プチ公園あり


江戸からある橋のたもとにはちょっとしたオープンスペースがある。火避け地として機能していたのではないかと思う。そこには現在上のようにちょっとした植栽が植えられたり、



公衆トイレが設置されたりする。植栽はともかく公衆トイレは不思議だ。千代田区のこだわりを感じる。


で、オープンスペースがあるとなると、かならずいらっしゃるのが

そう、DIYハウスだ。
ホームレスの方々だ。左は先に紹介した常磐橋のたもとにお住まいの方の家。歴史あるスペースに構えた一戸建て。なかなかお目が高い。

今回見た中で一番驚いたのがこのホームレスの家
なかには左のような充実した物件も。前回の特集でとりあげたっかた。並べられたきっちりとしたユニット。ブルーシートに対するガムテープの使い方はもはや何かのアートのようだ。こんなの見たことない。

■再び高架下鑑賞へ

配管のための橋の向こうに見える風情のある橋。なにもかも台無しな感じでよい。
さて、高架下鑑賞に戻ろう。神田橋の次は錦橋という橋だ。これも古そうな橋だが高架下という環境はもとより、手前を並行して走る配管のための橋などもあって全体的に風情台無しな感じですてきだ。いや、皮肉じゃなくてほんとにこういうの好きなんです。

背景に見える変わった形のオレンジ色のビルは不二ラテックスのビル。何をモティーフとした造形なのかは推して知るべし。

高架下鑑賞家にはうれしい配慮
この錦橋のまんなかには左のような「でっぱり」があった。なんだろうか。通行人の邪魔にならないように高架下風景を心ゆくまで楽しむための配慮か。ちょうどひとり分といった感じのこじんまりとしたスペースで独り高架下と自分の人生を重ね合わせるもよし、愛しいあの人といっしょに身を寄せ合って鑑賞するもよし。


で、そこから見える高架下風景はこんな感じ。


工事中のせいもあるが、すこしごちゃごちゃした感じが減点。


じつはここら辺一帯が工事中で、高架下の風景も魅力減である。やはり高架下の魅力は武骨なシンプルさにあるのではないか。ではないか、って誰に語りかけてるんだか分からないけど。


橋のたもとにあった地下埋設物の表示看板。こういうのにもぐっと来る。しかし営団11号線が「埋設物」てすごい表現。



■一ツ橋

一橋大学ってここが発祥か。
そして、次にあるのが一ツ橋。家康が江戸に入ったときに丸太が一本かけられていただけだったことからそう呼ばれるようになったのだとか。まさかそんな由来だったとは。丸太か。かつて橋の北にあったのが現一橋大学だが、学生の皆さんは自分の大学の由来が丸太だとご存じだろうか。


一ツ橋からの高架下風景。うーん、いまひとつ。



欄干もかわいらしいのだが、高架下の風景はいまひとつ
橋自体は由緒もあって、欄干がかわいらしかったり脇には石垣が残っていたりと見所が多いのだが、高架下鑑賞という点では二流と言わざるを得ない。残念だが。今回の特集が「外堀に架かる橋を鑑賞する」だったらもっとじっくりと見ておきたい橋だが、今回はさっさと次に進もう。


一ツ橋からの高架下風景は今ひとつだったが、そこからお堀沿いの風景はなかなかのもの。かなりかっこいい。(クリックすると大きな画像が見られます)



■雉子橋

冴えないグリーンがまぶしい雉子橋
一ツ橋の次は、雉子橋。さっきから橋の名前の由来紹介してるけど、どうもそれやってると高架下鑑賞にそぐわぬ「良い感じの特集記事」になっちゃうのでどうかと思うのだが(別になってませんかね)、この橋の由来は面白いのでしぶしぶ紹介しよう。

江戸時代、中国から勅使が来て「雉子って旨いよね」って言ったから国中から雉集めて、この付近にその雉保管所として鳥小屋を作った。その近くにある橋ってことでいつのまにか「雉子橋」って呼ばれるようになったらしい。鳥小屋って、どんだけ雉子集めたんだって話だ。

これも雰囲気のあるごつい欄干。そして高架。風情台無し。すてき。
ここも神田橋のところで触れたのと同様、江戸城本丸に近い場所のため警備も厳しかったようだ。「雉子橋でけんもほろろに叱られる」という川柳があるようで、警備の厳しさと雉子の鳴き声である「けんけん」をかけた、例によって江戸時代風の粋なオヤジジョークだ。落語とか聞いてるといつも思うんだけど、「粋」ってただのダジャレなんじゃないか。ぼくも30代を向かえて久しく、うっかりするとくだらないダジャレが口をついて出てしまうようになってきだが、そんなときは「これが粋ってもんだよ」とか言いたいと思う。


雉子橋からの高架下風景。悪くない。(クリックすると大きな画像が見られます)




雉子橋から反対側を見た高架下。ここで首都高が三つ叉に分かれているせいもあって、なかなかトリッキーな風景だ。(クリックすると大きな画像が見られます)


さて、問題の高架下風景だが、そんなダジャレ橋としての十字架を背負った割にはなかなかの空間造形である。及第点を出したい。

■宝田橋


雉子橋の隣、地味な宝田橋。こういう近代的なそっけない橋もグッとくる。共感は得られなそうだが。


ここらへんから高架の高さが低くなったように感じられ、高架下鑑賞家としてはどきどきしてくる。この橋からの高架下風景は期待が持てそうだ。


低く緩やかなカーブを描く高架、橋桁のごつごつした感じもエクセレント。(クリックすると大きな画像が見られます)


先はまだ長い。どんどん行こう。


 

▲トップに戻る 特集記事いちらんへ
 
 



個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.