ケース6:「私がスキなら、崖に咲くきれいな花を摘んできて」
ちょっとわがままだけどかわいい妄想彼女が突きつける要求も、さらなるデンジャーゾーンに突入。花を欲しがるまではわかるけど、崖に咲いてるのを摘んでこないとだめかな。
意味がわからないけど、それで彼女が満足してくれるなら。こうして男は崖を目指す。
崖には困らないところに住んでます
自然が織り成す地形ってきれいだよね。それは認める。だからもう、それでいいんじゃないかな。さらに季節は冬まっただ中、あんまり花とか咲いてる気がしない。
いろんな疑念が湧きつつ、崖に近寄ってみて気がついた。
コンクリ仕様の崖
崩れるのを防ぐためだろうか、今どきの崖は結構人の手が入っている感じ。安全面ではもちろん優れているわけだが、花を摘むという目的には厳しい状況だ。
それでもどうにかならないかと探していると目に入ったのは、
崖のきわを歩いているとこんな立て札が。怒りとかなしみ、憤りとが渾然一体となってシンプルなメッセージとなっている。大丈夫、そういうつもりはない。
それにしてもきついか
先ほどの崖をあきらめ、今度はより自然がそのまま残っているタイプの崖にやってきた。寒い冬でも常緑樹の緑が目立つ、これなら期待できるのではないか。
そう思ったのだが、予想に反して花は咲いていない。やはり無理か。
実かよ!
そんな中、赤くちらちらと見えるものを発見。もしかしたら花かと思って近づいたが、すでに花は終わって実となっているものだった。惜しい…。これでなんとか勘弁してもらえないだろうか。
崖はいいさ
半ばやけくそな気持ちになって、また別の崖の上に立つ。やけくそな気持ちであんまり崖に立ったりしない方がいいと思うが、花を探すんだぞとしっかり自分に言い聞かせる。
下を覗き込んだり上を見上げたり、やっぱり花なんか咲いてない。だめだ、ここであきらめるな、目を覚ませ、いや、やっぱり覚ますな。
花?
そんな思いが半端に通じたのか、花というかそうでもないのか、微妙な状態のものを発見。崖の切り立った先端に咲いているという状況もドラマチックだ。
うーん、ただどうだろう、これを摘んで彼女は喜ぶのだろうか。
絶対だまされてる
崖をめぐってみて気がついた。やっぱりこんな冬の最中に花なんか咲いているわけがない。
多分、「私がスキなら、崖に咲くきれいな花を摘んできて」という要求は、本当にそれを望んでいるのではなく、「私のことはあきらめろ」という通告に近いのだと思う。もし今、女性からそういう無理難題を突きつけられている方がいるなら、早く現実を見直したほうがいいと思う。
冬の海は色も濃いね
僕が言うことでもないけど、本当の愛とは何か
今回の特集「愛ってなんだろう」、いかがだっただろうか。実ることはないとは始めからわかっていたことだが、予想を裏切ることなく、見事に何の実りもない。
「私がスキなら○○してよ」という言説に、真実の愛はないのだ。愛は無償なのだ。
それはそうかもしれないけど、冬の海に飛び込んだり壺を抱えたりしているやつが言うと、逆に説得力がなくなる気がする。
そうした真実を身をもって確かめた今回の試み。悔いがあるとかないとか、そういう次元ではない。