「リベンジ！　失敗なきリベンジ！　のため、私は起きあがれるようになってから毎日、東京タワーに電話をかけました。
「すいませええん、電気消えるとこ見たいんですけどお、今日何時くらいに消えますかあ？」
「ちょっとお待ちください……すみません、それは今日は、18時に決定いたしますので…」

18時に再度電話。
「すいませええん、電気消えるとこ見たいんですけどお、今日何時くらいに消えますかあ？」
「ちょっとお待ちください……すみません、今日は整備がありまして、朝６時まで消灯いたしません」
「（うわあ、行かなくてよかった……）あのう、今週、ちゃんと12時に消える日とかって、決まってないんですかあ？」
「日によって変更がありますので、週間の予定とかではないんです、その日に決まるんです」
「そうですかあ（まじかよ……）」

で、何度か問い合わせた末、「今日は12時消灯の予定です」という返事をもらったのです。やった！

ニシさんとふたたび待ち合わせ。今度は待ち合わせ場所を、東京駅駅前、中央郵便局にしてみました。

「ニシさん、『デイリーポータルＺ』って、すごく若い読者が多いので、90年代カルチャーとか渋谷系とか知らないかもしれないので、東京タワーとかココが聖地だって知らないかもしれないッス……」

「じゃあ、近くにいる20代後半以降のお兄さんやお姉さんにきいてもらうってことで！」

「きいてもらうってことでいいかあ！　しかしニシさん、東京タワーに象徴される、あのキラキラしてオシャレでステキだった世紀末の東京は、どこにあったんでしょうね、と2006年の山手線内で考えてみたりするんですけど」


「あー、私、そのころ京都にいたんで知らないんですー」

「私、埼玉とか東京とかにいましたけど、どこにもなかったよ、そんなもの。そもそも東京タワーってお洒落っすか？」
「お洒落かなあ」
「ていうかですねえ、タワーの前で、とんでもない格好してポーズ決めてる人って変じゃない？」
「変ですよねえー」
「変だよなー」
「大好きやけどな！」
「大好きだけど！」

……浜松町の駅のトイレで、着替えてお化粧を直して、タワーに向かいます。