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特集


ちしきの金曜日
 
早起きして三文の得をさがす
朝焼けからはじまる一日

早起きは三文の得という。

早く起きることは良いことだというこの有名な言いまわし、その趣旨じたいにはとくに異論はない。

だけど、具体的にどんな得があるのかについて、さっぱり触れられていないのがちょっと気になる。

じっさいに早起きして三文の得をさがしてみました。

(text by 三土たつお

6時前に起きるなんて何ヶ月ぶりか

とにかく早く起きてみる

まずは、何もかんがえずにたんに早起きをしてみよう。

早く起きて、あとは普通の日とまったく同じように行動してみる。そのなかで、早く起きたことだけが原因で何かいいことがあったとすれば、それこそがまさに三文の得ということになるに違いない。

普段より2時間ほど早い、6時前に起きてみた。

さあ、どんないいことがあるだろう。


外に出てみたらこう。まだ夜の風情で、だれもいない。

この日の東京の日の出は午前6時40分ごろ。

空はまだ群青いろで、道ゆく人はいない。冬の早朝の空気が頬を刺し、ただスズメやカラスの鳴く声だけが住宅街にひびく。

「時に、残月、光冷ややかに」(中島敦「山月記」)みたいな状況だ。

何かいいことが起こりそうな気配はとてもみあたらない。


まだ星が出てるし。

交差点を曲がっても、パンをくわえて走ってきた転校生の女の子と出会い頭にぶつかったりはしない。

そもそも、あたりには僕以外に誰もいない。

駅へ向かう道には解け固まった雪がまだ残っているようだった。すべらないように注意しながら歩いていく。

6時4分。駅のホームもがらがら。

駅のホームにはまだほとんど人がいなかった。

高速道路のETCには早朝割引の制度があるけど、電車は早い時間に乗ってもとくに安くはならない。割引制度があれば時間差通勤も広まるにちがいないのに。

なんにしろこの時間なら席にはラクに座れることだろう。本日一文めの得ゲットに向けて電車を待つ。

立っている人こそいないけど結構混んでる。
ところが到着した電車の客席は意外に混んでいた。みんな朝早くからどこへ行こうというのだ。

空いている席は優先席だけだった。

ゆずるべき人がいないのだから座ることにはなんの問題もないのだけど、心情的にはちょっと抵抗を感じてしまう。

結局いつもどおり立っていくことになってしまった。


駅を降りても、ぼくを生き別れの息子だというアラブの大富豪に声をかけられたりはしなかった。

何かいいことはないのか。

思わず道に落ちているお金を探したりする。


おかね、おかね・・

吸い殻などいらぬ。

 

方針を変えます

早起きしてふつうどおりに通勤する、というだけではなかなか幸運には遠いらしい。

もっと積極的に、早起きしないと得ることができないものを探してみたいと思います。


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