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特集


ちしきの金曜日
 
早起きして三文の得をさがす

電車はまだ動いてないので自転車で

朝から並ばないと手に入らないものを

人気の食べもの屋さんなどで、朝から限定で売り出す商品が、開店した直後に売切れてしまうといった話を聞く。

こういうものこそ、早起きによってのみ手に入れられるもののひとつだろう。

調べたところ、東京の吉祥寺にあるようかん屋さん「小ざさ(おざさ)」が、未明ごろから行列ができることで有名らしい。ぜひとも入手するため、3時に起きて4時に江古田を出発することにした。

吉祥寺駅についたのは午前5時ごろ

駅前のアーケード街に「小ざさ」があった。


すでに行列ができていた

到着したのは午前5時ごろ。あたりを見回すと向かいの電気屋さんのシャッター沿いに座っている人々がいた。

訊いてみると、午前3時から並んでいるのだという。1日限定150本のようかんのために、いつも30人ぐらいの行列ができるのだとか。


先客は4人。お茶やお菓子の準備も万全。

先客は、高円寺から来たという30代の男性が3人、国分寺から自転車で来たという10代の女性が1人。

ぼくも行列の最後尾に並ばせてもらった。

お話を伺ったところ、女性の方は並ぶのは2回目。味は「フツーだと思った」けれど、並んで買ったといえば受け取る両親も喜ぶだろうと思って並んでいる、とのこと。親孝行だ。

マイ座布団も用意していた。

男性の方はすでに何度か来ていて、昨日も定休日だということに気づかずにうっかり並んでしまったといっていた。

この方も「ようかんの味は普通」だという。朝3時から並んでいる行列の1番と2番の人が揃って同じことをいうのはなんなんだろうと思った。意味がわからない。

「ラーメンとかの行列に並ぶ人が分からない」ともおっしゃっていた。確かにぼくも行列に並ぶのは好きじゃないけれど、午前3時からラーメン屋さんに並ぶ人も相当少ないんじゃないかと思う。

 

ひたすら寒さをこらえながら時間をすごす。

隣の方から暖かいお茶を頂いた。生き返る!


時間がたつにつれ、一人また一人と新たに並ぶ人が増える。

そういう方々とお話をしながら開店までの長い時間をすごしていると、だんだんみんなの間に連帯感がわいてくる。

隣の方が暖かいお茶を下さったり、マイ座布団を持っていないぼくのために、近くから段ボールを見つけてきて下さったり。敷いてみると直に地面に座るのとは全然ちがってとても暖かい。


6時半ごろ、空が明るくなってきた。すでに15人ほど並んでいる。

いろいろとお話を伺ううちに、みんなが「普通の味」というのはべつに悪い意味ではないのだということに気がついてきた。

大量生産的でなく、昔ながらの手作りで普通につくられているようかんは今や珍しい。そんな基本の懐かしい味に、惹かれる方も多いのかもしれない。

 

ついに報われた

午前8時半。開店の10時を前にお店の方がやってきて整理券を配りはじめた。

整理券を持っていれば、10時以降にまたやってきて好きな時間に受け取るができるらしい。寒さにふるえていたぼくは、すぐに近くのマンガ喫茶へ移動した。


整理券は150本分だけ用意されている。

気がつくと30人以上ならんでいた。

10時の開店後に再び来るとここでも行列。

こちらがそのようかん。丸い甘さです。


いざようかんを頂いてみると、あらためて普通という意味が分かる。甘さがとがらず、くどくない。滋味あふれるおいしいようかんです。


お店データ: 小ざさ(おざさ) 0422-22-7230
武蔵野市吉祥寺本町1-1-8

※限定ようかんは1日1人5本まで


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