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特集


ひらめきの月曜日
 
静岡「おでん街」へ行く

箸で好きな具を勝手に取って食べるシステム
ちゃんと駄菓子も売られている

駄菓子屋おでん、ホントだった

こんにちは、と言いながら店に入り「えーと、おでん、いいですか」と言うと、どうぞどうぞと席を勧めてくれた。

4〜5人が座れば一杯になるようなテーブルの真ん中に穴が空けられており、そこに鍋が埋まっている。鍋はこれひとつ。

先客が3人いるテーブルに2人並んで座ると、お店の方が箸と皿を出してくれるのだが、仕組みが分からない。

「あのー、好きに取っていいんですか?」

すると店の方と常連らしき女性のお客さんが「あらゴメンね、説明しなかったわ。好きに取っていいのよー」という内容のことを静岡弁で言ってくれた。

菜箸で好きな具を鍋から取るのだが、ツユの色が黒くて中が全く見えない。いちいち具をすくい上げなくては、自分が何を取ろうとしているのか分からないほどに黒い。

驚愕の安さ。5円刻みだもの
小さな子ども食べに来てました。キミがチビ太か?

もう、くったくたに煮込まれてます。なんたって開店が8時です

もちろんこのまま食べてもいいのだが、テーブルには「ダシ粉」と呼ばれる削り節と青海苔が置いてある。これを上からかけて食べるのが静岡流らしい。


タッパーに入ったダシ粉
2つミックスされたものも置いてあった
流儀に従ってふりかけてみた
「昔は銭で売ってたかねぇ」

ツユの黒さから、ものすごく濃い味のおでんを想像していたのだが、食べてみると案外そうでもない。いくらでも食べられそうな味だ。

ふりかけのように上からかけるダシ粉も、不思議と合う。うん、ウマい。

お店は、高齢のご婦人お二人で切り盛りされていた。飲み物など注文しなくても、お茶をどんどん注ぎ足してくれる。このお茶がまた、おいしい。

「お店はいつ頃から始めたんですか?」と聞いてみると「私の母親がお嫁に来てから始めたのよ」とのこと。

…それはやっぱり戦前の話なんだろうか、などと考えながらも、さらにお話を伺う。

「昔は1銭とか…、銭なんて分かんないでしょう? 子どもがお小遣い持って食べに来てねぇ。あの頃の子どものお小遣いはいくらだったか…。区画整理で今の土地に移って来て、そのまんま…」

お店の方の話を聞きながら、お茶を飲み飲み、おでんを食べる。なんかいいなぁ。

「ごちそうさま」を言うと串を数えてくれる
そろばんが現役で使われてます

串には2つの種類(先が尖ったものと、そうでないもの)があり、それで食べた金額が分かる仕組みになっている。

さんざん食べて400円だった。なんてステキなんだろう。こんなお店がある静岡が羨ましい。

 

次はパン屋へ

「駄菓子屋でおでん」というウワサは本当だったが、実は聞いたのはそれだけじゃない。パン屋でもおでんが食べられるというのだ。

パン屋でおでん。…是非、その実体も暴きたい。調べてみると、さきほどの店から歩ける距離だったので、てくてく歩いてパン屋を探す。

方向オンチが2人揃ってどうなることかと思ったが、次の店は苦労せずに見つけることが出来た。ものすごく目立つ場所にあったのだ。


あれだ

2つの道路に面したこの店、よく見てみると入口が2つある。

こっちの道路から見るとパンの店ですが
別の道路から見ると、おでんの暖簾が

入口が2つあることに驚いていたところに、おでんの方の入口からお店の人が出てきた。白い上っ張りと、白い帽子を被っている。これぞパン屋さん、といった格好。

いったい、中はどういうことになっているのだろう。


 

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